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2013/12/01【中国による軍事的緊張の更なる高まりに備える】

中国が不当に独自の防空識別圏を設定した件で、中国は日本に対し協議に応じるよう呼びかけました(※1)。

今回の中国側からの呼びかけから、中国側が防空識別圏を設定した目的の一つが分かります。

それは、中国との領土問題は存在しないとする日本政府を、協議の場に引きずり出し、沖縄県の尖閣諸島の領有権問題を認めさせるというものです。

中国側の呼びかけに対し小野寺防衛相は、尖閣諸島を中国の領土とする前提での協議には応じられないとの考えを示しました。(※2)

こうした日本政府の対応はたいへん真っ当なものです。

しかし、中国側は防空識別圏を設定して軍事的緊張を高めても、日本側が協議に応じないのであれば、次の一手として一段と緊張を高める恐れがあります。

例えば、尖閣諸島付近の中国が設定した防空識別圏内で、中国軍戦闘機が自衛隊機を撃墜するという事態です。

練度が高く極めて統制のとれている自衛隊は、警告射撃をすることこそあれ、相手より先に強硬手段に訴えることはありません。

中国軍機が尖閣諸島上空で領空侵犯する恐れがあれば、当然、自衛隊機がスクランブルすることになりますが、こうした自衛隊機の対応を熟知している中国軍機は、先に攻撃することが考えられます。

中国側は、「指示に従わずに敵対的な行動を取った自衛隊機に対し、国際ルールに従って自衛措置をとった」などと嘯くことは目に見えていますが、さすがに自衛隊に被害が出れば、日本の世論も協議に応じるように動くはずと目論んでいる可能性があります。

しかし、こうした中国のシナリオに乗ってはなりません。

日本はあらゆる事態を想定し、冷静かつ断固たる姿勢で中国に対峙する必要があります。

そのために、日本は中国に対し隙を見せてはなりませんし、命を張って最前線に立つ自衛隊員に対し、あらゆる支援を惜しんではならないと考えます。

※1:11月29日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20131129-OYT1T01021.htm

※2:同http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131129-OYT1T00623.htm