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2013/11/12【国家運営に責任を持っているのなら脱原発はできない】

小泉元首相の脱原発発言が、原発反対派を勢い付かせているように見えます。

原発再稼働容認の立場をとる自民党も、影響力の強い小泉氏の発言だけに、扱いに苦慮しており、石破幹事長も「小泉元首相と方向性は同じ」などと苦しい言い訳をしています(※)。

ただ、小泉氏は元首相とはいえ、現在は政界を引退しており、現在は国家運営に責任を持つ立場ではありません。

脱原発派は原発に代わるエネルギー源として、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを上げていますが、現状では水力を除いた日本の再生可能エネルギーによる発電量は、1%台にすぎません。

水力発電設備も新たに設置できる場所は限られており、再生可能エネルギーによる発電量が順調に推移したとしても、当面は到底、原発に代わるものではありません。

ならば、大震災後の現在のように火力発電量を増やしたままにするというのは、環境面で問題があるとともに、これから世界の人口が100億人を越えようとしている時に、引き続き日本が大量の化石燃料を消費することは許されないのではないでしょうか。

しかも、消費量のほとんどを輸入に頼る化石燃料による発電は、日本の安全保障上も懸念があります。

更には、世界では新興国を中心に原発需要が増える中で、脱原発により日本の原子力技術が衰退していくということは、日本の国際競争力の低下を招くとともに、「原発事故を経験した国として世界一安全な原発を世界に供給する」という日本の責務を果たすことができなくなります。

この他にも、脱原発による電力料金の高騰で、経済に悪影響がでるなど様々な弊害が考えられます。

小泉氏が懸念する核廃棄物の問題も、大深度地下に埋めることで技術的には解決しています。

小泉氏は、復興大臣政務官に就任した息子の進次郎氏の援護射撃として、今回の発言に至ったとの観測もありますが、本当に国家の行く末に責任を持っているのなら、今は脱原発を目指してはならないことは明らかです。

※:11月11日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131111-OYT1T00825.htm