急速な軍備の増強を続ける中国ですが、中国海軍は潜水艦の増強にも力を入れています。
日本と同様に島国である台湾は、物資の輸出入の多くを海上輸送に頼らざるを得ないため、中国海軍の潜水艦が安全保障上の大きな脅威の一つとなっています。
潜水艦に対しては、広範囲で哨戒活動が可能な対潜哨戒機が有効ですが、台湾では対潜哨戒機として60年以上も前に開発された米国製のS-2が主力となっており、現代の対潜水艦作戦を担う機体としては能力が大きく劣っていると言わざるを得ません。
これは、経済的な理由もありますが、最も大きな理由は、台湾軍の大きな後ろ盾である米国が、中国への配慮から最新鋭の武器を台湾に供与してこなかった背景があります。
今回、ようやくS-2の代替えとしてP-3の供与が開始されました(※)。
P-3は日米で主力の哨戒機となっている機体です。P-3が導入され本格的に運用が開始されれば、台湾海軍の対潜水艦作戦能力は大きく向上するはずです。
過去、中国海軍の潜水艦が潜航したまま日本の領海を侵犯した事件では、台湾軍から自衛隊に情報提供があったとされていますが、台湾軍のP-3の導入は日米にとっても心強いと言えます。
とはいえ、日米では既にP-3の後継機の開発・導入が始まっており、P-3は既に最新鋭の機体ではなくなっています。
中国との経済的な結び付きを強める台湾ですが、安全保障上の脅威が中国であるという状況に変わりはありません。
中台のパワーバランスが変化する中で、自由と民主主義の価値観を共有する台湾の独立を守るために、米国は台湾に対する武器供与の方針を見直すべきではないでしょうか。
※:10月31日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20131031-OYT1T00987.htm