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2013/10/23【米国の核の傘に頼っているのに核兵器不使用に賛同する矛盾】

国連総会の軍縮委員会で、核兵器の不使用を訴えた共同声明が発表され、日本も初めてこの声明に賛同しました(※)。

過去、核兵器不使用に関する声明は幾度も発表されてきましたが、日本は米国の核の傘に依存する安全保障政策と合致しないとして賛同を拒否してきました。

今回、国内の反核団体の強い圧力もあり、段階的に核軍縮を進める日本の取り組みと整合性が取れていることが確認できたとして賛同するに至りました。

北朝鮮の核の脅威が現実化しつつあり、中国が保有する核ミサイルのうち何割かは日本に照準が向けられていると言われる中で、核兵器の不使用を訴える今回の声明は、一見日本にとって有益に思われます。

しかし、北朝鮮はおろか中国をはじめとした既存の核保有国は、この声明に賛同していません

つまり、核保有国は「核兵器を使用することもある」と言っていると同じです。

核兵器を持たない日本は米国の核の抑止力に頼っているのに、中国や北朝鮮の核の脅威に対して、日本を守るためであっても米国に核兵器を使用するなと言っているようなものです。

今回の声明は日本の安全保障政策と整合性がとれているとは言えません

もちろん、核兵器を使用させるべきではなく、そうした軍縮に向けての政治的な志を示すことも必要ですが、日本の現状を直視すべきです。

軍の影響が強い一党独裁国家が、核兵器を保有してその戦力を増強させている以上、日本には核の傘が必要なのです

米国の軍事的な退潮傾向が明らかであるのならば、むしろ日本の核武装も検討するという姿勢を示すことも、抑止力としては有効であると認識すべきだと考えます。

※:10月22日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/131022/erp13102208590001-n1.htm