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2013/05/21【拉致問題の解決ともうひとつの懸念】

飯島内閣官房参与が北朝鮮を訪問し、北朝鮮の高官らと拉致問題などについて会談したと伝えられています。

拉致問題は、関係者の高齢化が進んでおり、一刻も早い解決が必要です。

安倍首相も、5月20日の参院決算委員会で、「日本が主導的に解決しなければ、ほかの国がやってくれることはない」と述べました(※)が、確かにその通りです。

しかし、今回の飯島氏の訪朝が、安倍政権の政治的思惑を優先してのことであれば問題です。

飯島氏の訪朝は米韓に事前に説明した様子は無く、極秘裏の訪問のようでしたが、あろうことか北朝鮮側が訪朝を当日に公表してしまいました。

訪朝を公表した意図は、日本が米韓を差し置いて行動したことを示し、日本と米韓の連携にくさびを打つことでしょう

実際、韓国政府は、早速、今回の日本側の行動に不満を示しています。

更に、安倍首相が、7月の参院選を前に、一段の成果を得るために行動したのであれば、交渉の過程で、北朝鮮に足元を見られてしまう恐れもあり問題です。

拉致被害者の救出は最優先事項です。それと同時に、北朝鮮の核ミサイルが日本を攻撃できる、もしくは攻撃することが可能となりつつある現状では、日本国民の生命が脅かされていることも事実であり、この解決も優先されるべき課題です。

拉致問題の解決だけが突出してしまえば、北朝鮮の横暴な振る舞いが一層激しくなり、日本が孤立する恐れがあります。それは、拉致問題の解決を一層困難なものにしてしまうことにもなります。

安倍首相は、こうした懸念も織り込み済みで、事に当たっていると思いたいところです。

※:5月20日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20130520/k10014711261000.html