日本のTPP交渉への参加について、4月19日にも参加を承認していなかった国の全てから承認を得られると見られていましたが、唯一カナダから承認を得られませんでした(※)。
カナダから承認を得られなかった理由は、カナダが日本から車を輸入する際にかける関税の撤廃時期を巡る協議が決着しなかったためとみられます。
しかし、少し疑いすぎかもしれませんが、カナダが承認しなかった背景に中国の影響があることも考えられます。
TPPには自由貿易や知的財産の保護などが盛り込まれていますが、今の中国の体制ではこれらを満たして参加することは不可能です。
従って、TPPにより自由貿易圏をつくることは、一党独裁国家である中国への牽制となり、参加すれば日本の安全保障に資するものです。
一方で、中国は投資協定などを通じてカナダとの関係を強めようとしています。
カナダは投資協定を通じて、国内の中国企業に自国の企業と同等の扱いをすることになっています。中国はカナダの資源が狙いのようですが、カナダとしては中国の経済力が魅力的に映っているようです。
世界第3位の経済規模を誇る日本がTPPに参加しないことで、喜ぶ国の一つは中国ではないでしょうか。こうした中国の意向を汲んで、カナダがTPP交渉への日本の参加を拒んでいるのであれば、それはカナダ自身の自由や安全保障にとってもマイナスです。
カナダは、経済的な観点はもちろん、地域の安全保障や外交の観点からも、早急に日本の交渉参加を承認すべきです。そして、日本をはじめとした交渉参加国は、アジア太平洋地域の未来の繁栄のために、公正で自由な貿易圏を構築していくべきではないでしょうか。
※:4月19日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130419-OYT1T01233.htm?from=main3