中国政府は、香港政府トップである行政長官を普通選挙で決めることになっていた2017年の選挙で、中国側の意向に沿わない民主派の立候補を認めないことを明確にしたとのことです(※)。
中国政府は、英国の統治下で繁栄した香港を特別行政区にし、「50年間政治対体制を変更しない」として一国二制度を敷き、自由主義諸国に対するショーウィンドウ的な役割を担わせてきましたが、ここに来て香港の自由や人権が次第に失われていています。
台湾だけでなく、沖縄の親中的な勢力の中には、「中国の勢力下に組み込まれたとしても、香港のように一国二制度の下、自由が保障される」と考える向きもあるようですが、今回、中国政府が事実上の普通選挙を認めない方針を明確にしたことで、そうした考えは幻想にすぎないことが分かったはずです。
要するに中国政府は、体制の維持拡大に繋がるのであれば、自らの価値観と反するものでも利用し、逆にそれが体制を揺るがしかねないと見るや縛りに掛かるのです。
香港と同じように中国に組み込まれたチベットでは、現在も自由が認められておらず、チベット民族に対する過酷な弾圧が続いています。
3月25日には、そうした中国政府による弾圧に抗議してチベット族の女性が焼身自殺しました(※2)。
チベット族の自殺者は、2009年2月以来、110人に達したとのことです。
こうした手段でしか抗議の姿勢を示せないチベット族の無念さを思うと胸が痛みます。
私たち日本人は、言論や信教といった自由が如何に大切で尊いものであるか再認識する必要があるのではないでしょうか。
同時に、中国の民主化に力を貸す必要があるのではないでしょうか。
※1:4月2日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0105Q_R00C13A4FF1000/
※2:3月25日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/130325/chn13032511560002-n1.htm