安倍政権は、先の民主党政権に比べれば、私たち幸福実現党に近い政策が多いのですが、最近、気になる動きがいくつかあります。その内のいくつかを挙げてみます。
一つ目は、1月31日に安倍首相が衆院本会議で、道州制の導入を定める「道州制基本法」の早期制定を目指す考えを示したことです(※1)。
道州制といった地方自治の強化は、美名のごとく聞こえますが、実は日本の国力を弱める方向に働く恐れがあります。
確かに、各道州が互いに競い合って豊かさや幸福度を高めていくことも考えられますが、日本は地理的に狭いため、道州がどのような区割りになるにせよ、東京や大都市圏に他の地方が敗れる可能性が高いでしょう。
特に、リニア新幹線など交通網が一層整備され、東京と地方の距離が縮まれば、多くの地方が東京の郊外となり得、道州制は、事実上、地方切り捨てとなります。
道州への税源移譲も、税収の地方間格差を広げるでしょう。
また、当然、中国や北朝鮮の脅威に対しては、日本が国として一致団結して当たらなければならないにもかかわらず、道州制は、逆に、国家解体を進めてしまいます。
二つ目は、政府・自民党が、共通番号制度「マイナンバー法案」の成立に向けて、他党に協力を呼びかけるとしている点です(※2)。
多くのマスコミは、脱税の防止や行政手続きの合理化などの理由から推進の立場ですが、なぜ、国家が国民の預金・貯金通帳をいつでものぞき見できる管理社会が訪れることに懸念を示さないのでしょうか。
三つ目は、TPPに関する議論です。
安倍首相は、TPPへの参加に積極的な姿勢を取れないでいます。
TPPへの参加は、デメリットばかりに議論が集中しがちですが、農業分野でも輸出拡大の可能性が十分にあります。
更に、中国に対する包囲網の形成にも繋がると同時に、国際社会における日本の発言力を強めるチャンスでもあるのです。
是非、早期に参加を表明すべきではないでしょうか。
このように、保守回帰を果たした安倍政権ですが、自由という価値観に立脚して、長期的な国益についても考慮した上で、政策を遂行してもらいたいと考えます。
※1:1月31日付東京新聞http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013013101001787.html
※2:2月3日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20130203/k10015256901000.html