5月25日から沖縄で、太平洋島しょ国の首脳会議「太平洋・島サミット」が2日間の日程で開幕しました。
このサミットには、日本と島しょ諸国に加え、米国、オーストラリア、ニュージーランドを加えた計17の国・地域が参加しました。
近年、中国は、軍事的拡張と資源獲得などを目的に太平洋の島しょ諸国に対する進出を強めていますが、今回のサミットは、こうした中国の進出に対抗するために開催されていると見ることができます。
その意味で、今回初めて米国がサミットに参加する意義は大きいと言えます。
サミットでは海洋安全保障についても議論され、日米同盟、米豪同盟に島嶼国も加わった「太平洋諸国による同盟」が形成されようとしています。
しかし、中国は、今回のサミットに合わせるかのように、太平洋の島しょ5カ国の政治家と北京で会談し、中国と太平洋の島しょ国の関係を一段と強化する考えを表明しました(※)。
これには、中国包囲網と言われる今回の「太平洋・島サミット」をけん制する狙いがあるとみられます。
中国と会談した5カ国は、いずれも中国が大規模な経済援助を行っている国々です。
その中でも特にフィジーは、2006年に軍事クーデターがあった際、米国やオーストラリアなどが経済的な制裁と入国制限で締め上げたのに対し、中国が巨額の経済援助ですり寄った国であり、今回のサミットも欠席しています。
もともと、太平洋の島しょ諸国は日本の援助もあって、親日意識が高かったのですが、近年は中国がこの地域への影響力を強めている状況であり、台湾にとっても、中国との外交関係締結を争う舞台となっています。
今回、このサミットが中国の脅威にさらされている沖縄で開催されたことは大きな意味があります。
日本は、軍事的にも要衝であるこの地域の重要性を認識するとともに、日本の未来の繁栄は、環太平洋地域の繁栄と重なっていることを念頭に、引き続き関与を強めていく必要があるのではないでしょうか。
※:5月25日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819697E0E7E2E2E18DE0E7E2E7E0E2E3E09793E3E2E2E2;at=DGXZZO0195570008122009000000