3月28日、ローマ法王のベネディクト16世はキューバでフィデル・カストロ前国家評議会議長と会談しました(※)。
会談の詳細は明らかにされていませんが、人権問題などについて話し合ったとされています。
これに先立ち、ベネディクト16世は、「マルクス主義は時代遅れだ」と言明し、マルクス主義を国家の中枢に据えてきたキューバを批判し、抜本的な社会変革を求めました。こうしたベネディクト16世の言動は、宗教者として一定の評価ができます。
一方、チベット仏教のリーダーであるダライ・ラマ14世は、昨年、米国で行なった講演で、「わたしは自分をマルキストだと思っている」と発言しています。
ダライ・ラマ14世のこうした発言は、たびたび耳にしますが、はたして無神論の世俗的なマルクス主義とダライ・ラマの宗教的な思想とが両立するのかという疑問が生じます。
確かに宗教修行には、個人的な持ち物を持つことを制限した共産主義的な生活はつき物ですが、それは俗世を離れた聖なる生活に身を捧げることを決意した僧侶らの話です。
社会や国家の原理としてのマルキシズムが、独裁と暴政を生む思想であったことは歴史が証明しています。
個人の富を否定する考え方がもたらすのは、貧しさの平等であり、社会の発展ではありません。
このように、世界的に有名な宗教家であっても、その思想の違いに皮肉なものを感じます。
私たち幸福実現党は、宗教政党です。
宗教が政治に進出したり、政治や経済について言及したりすることを批判する向きもありますが、そこには「政教分離」に対する根本的な誤解があります。
憲法の「政教分離」規定とは、国家による宗教への介入を禁止する規定であり、宗教が政治に関わることを禁止する規定ではないというのが政府の公式見解です。
宗教もある程度の規模に成長していけば、社会的責任が生じます。
政府が悪い政治を行ったならば、何が人々を幸せにしていくのかを社会に問い、行動し、良き社会へと導いていく責務があります。
例えば、デフレ期に増税を行えば、倒産やリストラ、失業が増え、過去の例からも自殺者が急増することは避けられません。
だからこそ、宗教が予防的に政治や経済、外交、安全保障、教育等の間違いを正そうとしているのです。
私たち幸福実現党は、強い信念と行動力、使命感に基づき、将来、国民が不幸にならないように行動してまいります。
※:3月29日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/120329/amr12032910390005-n1.htm