1月4日のキャンベル米国務次官補の訪中で、北朝鮮情勢について「米中は朝鮮半島の平和と安定を維持していく」ということで意見が一致したとしています。
一方で、米国は選挙の年は、現職大統領の支持率が上がるので戦争が起こりやすいという分析もあります。現在、米国は北朝鮮情勢と共に、核開発を続けるイラン情勢にも神経を尖らせています。
こうした情勢の中、今回の金正日総書記の死去とそれに伴う若い金正恩氏への権力移譲に関して、大川隆法幸福実現党名誉総裁は、「『北朝鮮-終わりの始まり-』-霊的真実の衝撃-」(金正日・金正恩守護霊の霊言)の中で、「(米国は)イランと北朝鮮、どっち先やるか。オバマ大統領は予算的には両方同時にはできないので、北朝鮮の優先順位が上がったと見ていい」と、有事の際の米国の戦略を分析しています。
8日の報道では、12月末に北朝鮮は、米国に対し穀物を中心とした食糧支援を要請しましたが、米国は支援物資の軍隊への横流しを懸念して、これを拒否しています。そこで、北朝鮮は、いつもの外交カードの一つとして、軍事的挑発をエスカレートする事態も考えられます。従って、日本も朝鮮半島の有事を想定しておく必要があります。
朝鮮半島が有事に至った際、日本にとって真っ先に問題になるのは、在韓邦人の救出です。
現在、在韓邦人の数は約38,000人にのぼります。しかし、自衛隊による在韓邦人の救出に向けた法整備は全く不十分な状態です。民主党政権は、こうした認識に欠けている状態なので、有事の際は、日本政府は主体的に行動ができず、4万人近い在韓邦人の救出に右往左往するであろうことは容易に想像できます。
米国は、約85,000人もいる在韓米国人の救出を優先させるでしょうし、自衛隊による救出も、韓国の自衛隊への感情の問題がありますし、肝心の自衛隊法にも大きな問題があります。自衛隊法第八十四条の三には「当該輸送の安全について…確保されていると認めるとき」という条件が付いていますが、有事の際は“安全”であるはずがなく、そもそも安全な状況であれば、民間の輸送手段を利用すれば良いわけです。
従って、有事においても自衛隊が救出に参画できるよう、自衛隊法の改正や「朝鮮半島有事に係る在外邦人脱出に関する特別措置法」の制定、事前の韓国との取り決め等が急務です。日本人の生命・安全・財産を守ることは、日本政府の最大の責務です。政府は、朝鮮半島有事における邦人救出について、何度もシミュレーションを繰り返すと共に、迅速に法改正等に取り組むべきです。