尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件以来、尖閣諸島海域は中国漁船、中国漁業監視船、中国調査船が自由に航行できる海と化しています。
監視船による接続水域侵入だけで、昨年9月の中国漁船衝突事件以来、確認されているだけで14回にも上ります。
この背景には、中国漁船衝突事件で民主党政権が中国人船長を釈放し、日本領における主権を放棄したことがあります。
民主党政権が国防の務めを放棄したことが原因で、中国は今、日本の国防の隙を突いて海だけでなく空でもそのプレゼンスを高めています。
つまり、民主党政権は何もできないと中国に見透かされている訳です。
こうした状況に、ようやく事態の重要さを認識してか、野田首相は10月16日に茨城県の航空自衛隊百里基地で行われた航空観閲式で、中国の軍事力の拡大について名指しで指摘し、自衛隊の役割の重要性に言及しました。
今までは、中国の軍事予算の不透明さを強調してきた野田首相ですが、ここにきて、鳩山氏、菅氏という歴代の民主党の首相とは一線を画し、中国の軍拡を警戒し、自衛隊を激励する内容となっています。
野田首相は、こうした考えを示したのであるならば、具体的に行動でも示してほしいものです。
その一つに、普天間基地の移設問題があります。
17日に、一川防衛相は沖縄を訪問し、政府が移設先である辺野古周辺の環境アセスメントの最終段階となる「評価書」を今年12月に沖縄県に提出する旨を仲井間知事に打診しました。
しかし、民主党が前回の衆院選挙の際に稚拙にも「最低でも県外に移設」と公約したにもかかわらず、その後に従来からの自民党案に考えを戻したために、地元の理解を得られずに政府は信頼を失ったままです。
政府民主党は、中国の脅威や、沖縄海兵隊の存在意義をきちんと沖縄県民を始め国民に説明すべきです。
今月25日に開催される予定の一川防衛相とパネッタ米国防長官との会談でも、来年夏の埋め立て申請を前提に、年内に環境アセスメントの手続きを進めるよう強く求められると目されています。
米国側に急かされて行動するのではなく、日本国民の生命、財産、安全を守るために、地政学的に重要な位置にある沖縄には基地が必要であり、辺野古移設は行う必要があることをしっかり主張すべきです。