10月4日の東京市場では、円はユーロに対しても買われ、10年ぶりの円高ユーロ安の水準になりました(※:10月4日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819591E2E6E2E2E18DE2E6E3E2E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;at=DGXZZO0195576008122009000000)。
円はドルに対しても高い水準を維持したままです。
野田首相は、先の参院本会議の代表質問で円高について「強く懸念している。投機的な動きは無いか注視し、あらゆる措置を排除せず、必要な場合は断固として行動していく」と述べているように、円高を是正する措置をとる意思を見せています。
実際に、8月のドル買いの為替介入では過去最大規模の一日で4.5兆円を投入しています。
一方で、政府は「円高対応緊急パッケージ」として、日本企業が海外企業を買収する際に低利で融資する支援制度を打ち出しています。
これは、企業の海外投資を促せば、円を売る動きが増えるため、円安に誘導できると見込んだものです。
しかし、実際は、海外投資は円高だからこそ盛んになるわけなので、政府が海外投資を後押しすれば、投資家からすれば、日本政府が事実上円高を容認しているように映ってしまいます。
このように、一貫性の無い政策では、為替相場は当面円高水準が維持されたまま推移するでしょう。
その反面、お隣の韓国では、通貨「ウォン」がここ2カ月で対ドルで12%もウォン安が進みました。
「韓国はウォン安を受けて輸出が好調で海外投資を加速させてうらやましい」と思う人もいるかもしれませんが、一方で、国内の設備投資が鈍り、若者の雇用が停滞し、物価上昇が続き、富が国内に還元されていないという問題を抱えており、ウォン安に起因するデフォルトの危機もささやかれているのです(中央日報)。
確かに、急激な円高は輸出企業を中心にその体力を奪います。
しかし、そもそも円高は自国通貨が“強い”ことを意味しています。
ここはまず、中途半端な円高対策はやめて、円高を日本の強みと認識して、成長戦略を根本的に見直す必要があるのではないでしょうか。