【米無人機爆撃で21人死亡パキスタン部族地域】2011年6月28日 産経より
パキスタン北西部部族地域の南ワジリスタン地区で27日、米国の無人機による爆撃が2回あり、ロイター通信によると、イスラム武装勢力メンバーとみられる少なくとも21人が死亡した。
最初の爆撃はアフガニスタンとの国境近くを走る車を狙い、8人が死亡。
数時間後、別の無人機が武装勢力の訓練に使われているとみられる施設を爆撃し、13人が死亡した。
ロイターによると、パキスタンでは、米無人機による爆撃で6月にこれまで武装勢力メンバー計80人以上が死亡した。
パキスタンでは、国際テロ組織アルカーイダの指導者ウサマ・ビンラーディン容疑者殺害作戦を米国が事前連絡なしに実行したことへの反発が強い。
無人機爆撃に対しても、民間人犠牲者が出ていることも加わり批判が高まっている。
引用、以上。
米軍の無人機による爆撃などもあり、パキスタンのアメリカに対する感情は日ごとに悪くなっています。
これまでパキスタンは、アメリカの同盟国として「対等なパートナー」のつもりだったものが、ムシャラフ大統領失脚以降、「同盟国」というより、「従属国」と見なされてきた感も否めないところが根本にあります。
しかし、その原因はパキスタン政府の「統治能力の不足」にあることも事実です。
パキスタンの統治能力は、アメリカが求めるレベルに達していません。同じことは隣国アフガニスタンにも言えます。
パキスタンは政府内における軍部の影響が非常に強い国です。
ムシャラフ前大統領は元々パキスタン軍の参謀総長を務めた人物であったり、予算が優先的に軍に回される傾向があります。
この統治機構の不透明さは、アメリカが最も嫌うものです。
アメリカとパキスタンは最初は「蜜月関係」にあったと言えますが、次第に年月が経つにつれて、お互いの意見の相違が深まり、ビンラディン殺害作戦で亀裂が入ったものと考えることができます。
アメリカとパキスタン関係が目に見えて冷え込む中、パキスタンがグワダルにおける軍港建設と中国海軍の駐留を中国に要請したとの報道があり、中国は「真珠の首飾り」の一環として、パキスタンにおけるプレゼンスを増しつつあります。
中国の覇権拡大の抑止や中東のパワーバランスの安定という観点からも、アメリカとパキスタンの関係修復が求められます。