【東北農業復興 豊かな食の大地を取り戻そう】2011年4月12日 読売より
巨大地震と原発事故が東北・北関東の農業地帯に甚大な被害をもたらしている。宮城、福島、茨城などは有数のコメどころだ。
田植えの時期を控え、多くの農地で作付けができないままでは、食料供給に影響が出かねない。
政府は、自治体や農協と連携して少しでも多くの農地を復旧させ、農家の営農再開と農村再興に道を開かねばならない。
土砂やがれきに埋まり、海水をかぶった農地は6県で約2万ヘクタールに及ぶ。JR山手線内の4倍、10万トンのコメがとれる面積だ。
まずは農地や水利施設の修復を急ぎたい。海水につかった農地は水が引いても土壌に塩分が残り、作物が十分育たない。
水田として再生するには、真水で洗い流すなど塩分を取り除くしかない。作付けできても、農作業のスケジュールは大幅に遅れ、収穫減も予想される。
行政や農協は農家への営農指導を徹底してほしい。今年の減反政策は見直すべきだろう。
被災した農家に割り当てられた生産目標を、他の農家に配分するなど柔軟な対応が必要だ。
長期化する福島第一原発の事故も気がかりだ。規制値を超えた放射性物質が検出され、福島、茨城、栃木3県の全域と千葉県の一部地域のホウレンソウなどが出荷制限されている。
レタスなど対象外の野菜まで敬遠され、農家の経営不振は深刻化しつつある。市場に出回る安全な東北産の買い控えは避けたい。
今後の焦点は、放射能漏れによる土壌汚染の取り扱いである。福島県は一部地域で農作業を延期するよう要請している。
汚染が懸念される農地での作付けは可能なのか、自治体も安全性を確認できない以上、やむを得まい。
政府はコメの作付けを制限する水田の汚染度基準は設けたものの、具体的な地域については、関係県と協議して決定する方針だ。
土壌調査を急ぎ、作付けの是非を早急に見極めねばならない。経営支援策としては、農家の補償を早急に行う必要がある。
出荷制限に対する補償の実施は固まったが、具体策はこれからだ。農協が実施する経営資金の無利子融資だけでは十分とは言えまい。
長期的には、都市型の阪神大震災では経験していない広範囲の農業地域の再生が課題となる。
今後の復興計画づくりでは、東北地方を改革のモデル地域と位置づけ、中核農家による大規模農業を実践する方策などを打ち出していくことが重要である。
引用、以上。
今、農地や海水の汚染が懸念されていますが、私は、農地の汚染の影響を受けない「野菜工場」、海水の汚染の影響を受けない「陸上での魚の養殖」等を提言したいと思います。
海水や放射性物資によって田畑がダメージを受けた場合、土壌改良に時間がかかりますが、そうした土地であっても、「野菜工場」であればビルの中で栽培するために、すぐに栽培を始めることができます。
政府は、こうした逆境を「常勝思考」によって好機に転じ、今こそ、危機に立つ日本農業の本格的イノベーションに取り組むべきではないでしょうか。
政府はこうした時期にこそ、平時ではなかなかできない、新規プロジェクトにチャレンジすべきです。
チャレンジなくしてイノベーションはありません。新しいことを恐れていては本格的復興など不可能です。
今こそ、「平成の後藤新平」が登場すべき時だと思います。