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2011/01/06 【南シナ海は「核心的利益」中国、軍中心に強硬論】

【南シナ海は「核心的利益」中国、軍中心に強硬論】2010年12月30日朝日新聞より

中国軍が南シナ海の離島の占領計画を策定した背景には、東南アジア諸国が実効支配で先行する南シナ海での劣勢を一気に覆そうとの意図がうかがえる。

中国政府はこの海域で漁船保護を名目に大型漁業監視船の活動も活発化させており、経済力と軍事力を背景に実効支配を既成事実化する狙いがあると見られる。

これまで中国外交の基本となっていたのは、小平が唱えた「韜光養晦(とうこうようかい)」という考え方だ。「能力を隠してひけらかさない」という意味で、100年間守らなければならない外交原則とされてきた。

ところが最近、「韜光養晦の考え方が中国人の思考を萎縮させ、外交を弱気にさせている」(戴旭・空軍上校=大佐に相当)という否定的な意見が強まっている。

代わりに台頭してきたのが、「核心的利益」に基づく考え方だ。台湾やチベットなど「いかなる妥協もせず軍事力による解決も辞さない」(中国軍関係者)最重要の国益を指す。

中国政府は内部では以前から南シナ海についても核心的利益と位置づけていたが、今年から外交交渉の場などでもそう主張するようになった。核心的利益の適用範囲を対外的に拡大した形だ。

中国は石油・天然ガスの埋蔵が指摘された1960年代から南シナ海の領有権を主張してきたが、先に実効支配を進めたのはベトナムやフィリピンだった。

だが、経済の急成長とともに軍事力においてASEAN諸国より圧倒的優位に立つようになり、「積極的な行動に出るべきだ」(中国政府関係者)という意見が強まってきた。

国家海洋局はホームページ上で南シナ海について、「中国とほかの小国との領土問題であり、十分な軍事力を見せつけて、領土問題を有利に進めなければならない」と主張している。

一方、中国農業省は23日、北京で全国漁業業務会議を開き、周辺国との領有権問題を抱える海域での監視活動を強めることで一致した。南シナ海では、漁業監視船による中国漁船の護衛と、他国漁船の違法操業の取り締まりを強化。

東シナ海でも尖閣諸島付近での自国の漁船保護と巡視の常態化を徹底させることを決めた。

日本外交筋は、南シナ海と東シナ海はともに中国軍が「内海」と定める「第1列島線」内にあり、今後さらに攻勢を強めるとみている。同筋は「中国による南シナ海の実効支配が完成すれば、次は尖閣諸島を含めた東シナ海に重点が移る」と警戒を強めている。

以上、中国が言う「核心的利益」とは「いかなる妥協もせず軍事力による解決も辞さない」最重要の国益を意味します。

中国が昨年まで「核心的利益」と位置付けていたのは台湾、チベット、新疆ウイグル自治区だけでした。しかし中国政府高官が今年3月、南シナ海も中国の「核心的利益」だと米国に初めて説明し、範囲が拡大されたことを明らかにしていた。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが10月2日、中国外交筋の話として伝えたところでは、中国指導部は今年初めまでに、尖閣諸島を含む「東シナ海」についても、一切の妥協を拒む最高級の「核心的利益」に格上げしたといいます。

尖閣諸島や東シナ海は中国の領土(領海)であり、これを守るためには「軍事力による解決も辞さない」という中国の方針が出たことに対して、日本政府は防衛強化等の対応を急ぐべきです。