原子力規制委員会が、原発の運転期間を事実上延長する新制度について採決する際に、委員全員の一致とはならずに異例の多数決での採択となりました(※)。
これに対し、反原発派を中心に批判の声が上がっています。
この新制度は、原発の最長の運転期間である60年間から、審査で停止している期間を除外するなどとしたものです。
5人の委員のうち1人が、「技術的、科学的ではない」などとして反対しました。
ただ、反対した委員は地質学の専門家であり、原発設備の審査や原子力防災を担当する専門家ではないということです。
また、原発の老朽化度合いは、個々の原発で異なるので一律に運転期間を定めること自体が、本当に技術的・科学的なのかという疑問も残ります。
確かに、安全性に関わる問題はじっくり時間をかけて行うべきとの考えもあります。
しかし、だからと言って、想定外を無くすとの考えのもと、過剰なまでの議論を延々と続けることは建設的ではありません。
今回の採決は、政治日程ありきとの指摘もあるにせよ、資源小国である我が国にとって原発は安全保障上重要なので、専門家が多数決で採択することにも一定の合理性があるようにも思えます。
※:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230213/k10013979761000.html