岸田首相がウクライナを訪問する機会を探っていると伝えられています。
欧米は多くの首脳がウクライナ訪問を終えていることから、岸田首相も5月のG7サミットを控えウクライナ支援で協調したい思惑が見て取れます。
しかし、日本は、置かれた地政学的状況が欧米と異なることを理解した上で、慎重に行動する必要があるのではないでしょうか。
なぜならば、欧米、特にヨーロッパにとって、差し当たっての脅威はロシア1国だけなのに対し、日本にとっては、既に中国と北朝鮮が明白な脅威として存在しており、仮にロシアを敵に回してしまえば、日本は事実上3か国を相手にしなければならないからです。
しかも、近隣国が結束してロシアと対峙できるヨーロッパに対し、日本は事実上米国だけが頼りです。
ですから、岸田首相は、ロシアを完全に敵に回すようなメッセージを送るべきではなく、その意味で、支援の強化だけを目的とするウクライナ訪問なら行うべきではないと考えます。
もちろん、人道支援は手厚く行っても構わないと思いますが、欧米と同じスタンスでウクライナを支援することは、日本の将来を逆に危うくするものです。
参考にできるのはインドの外交姿勢です。
インドは、日本と同じ民主主義国家でありながら、中国を念頭に、欧米一辺倒ではなく中国の背後に位置するロシアとの関係も重視しています。
ロシアを侵略者として絶対悪と位置付けるのは簡単ですが、歴史を紐解けばロシアとウクライナの関係はそう簡単なものではないことが分かります。
日本は、停戦の仲介役となる道も考える必要があると考えます。