フィリピンが管轄する海域に落下した中国のロケットの残骸を、フィリピン海軍が回収したところ、中国の公船が妨害し強奪した模様です。
中国による宇宙開発では、ロケットや衛星の残骸の落下が世界中で問題となっているにも関わらず中国政府は意に介せず、今回も横暴さが際立った形です。
しかし、フィリピン側は、当の海軍は憤慨しているものの、今年、就任したマルコス新大統領は、中国への抗議はしないとしています。
マルコス氏は、大統領就任以前から個人的に中国との関係が深いことで知られ、就任後も中国との関係強化を打ち出しています。
今回も、“親中”の姿勢が裏付けられたと見られています。
一方で、フィリピンは日本との防衛関係の強化を図っています。
今月末からは、航空自衛隊のF-15戦闘機がフィリピンに派遣され、フィリピン空軍と共同訓練を行うことが計画されています(※)。
今までは人道支援や災害救援の共同訓練の実績はあるものの、戦闘機が派遣されるのは初めてとなります。
また、フィリピンは、日本の武器輸出三原則が緩和されて以降、初めて国産装備品の輸出が決まった国でもあります。
具体的には防空用のレーダーですが、他に外国へのめぼしい輸出実績が無いだけに、日本にとってフィリピンは貴重な存在と言えます。
フィリピンは、決して裕福な国ではなく国内で様々な問題を抱えている上に、米国と中国という大国の間で難しいかじ取りを迫られているのは事実です。
日本にとっても、フィリピンはシーレーン上に位置し、台湾と同様に地政学的に重要です。
ですから、日本は、同じ自由・民主・信仰の価値観を有する国として、これ以上、中国になびかないように、フィリピンに注目し関係強化を図っていく必要があると考えます。
※:https://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/R4/20221121.pdf