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2021/02/15【雇用調整助成金の支払額が3兆円に迫る】

 「会社がパート社員に対する雇用調整助成金の支払いを拒否するという例」を引き合いに出して、正社員との格差を指摘する声があります。
 

 「雇用調整助成金」とは、「売上げが減った会社を対象に、従業員を解雇せずに休業とした場合、その休業手当を国が補償する制度」のことです。
 

 確かに、中小企業に対する国の助成率が9割だった昨年前半は、1割といえども会社に負担が生じるため、パート社員の分を申請しなかった会社が少なからずあったようです。
 

 しかし、昨年の4月以降は助成率が10割となったため、事務処理の手間は多少かかるものの、会社がパート社員だけ除外するメリットは実質的に無くなっています。
 

 従って、未だにパート社員への支払いを拒否する会社があるという声に対しては疑問を感じます。

 
 一方、厚労省によると雇用調整助成金の支給決定額は2月12日の時点で2兆8千億円を超えています。

 雇用調整助成金は、コロナ禍で疲弊する企業にとって雇用を維持するための大切な要素となっていますが、一方で、支給要件が緩すぎるとの指摘もあり、このままいつまでも支給を続ければ、国の財政負担は莫大となります。
 

 支給の対象者についての議論は勿論重要なことですが、早期に景気を回復させて支給を終わらせなければ、将来の大増税となって結局は私たち国民の負担が増えることとなります。