10月1日は、「消費税が上がる日」ですが、多くの地域で「最低賃金も上がる日」です。
今年度は、全国平均で時給901円となり、昨年度と比べ27円のアップとなります。
一見、労働者にとって喜ばしいことと思われていますが、パート労働者にとっては必ずしも給与のアップに繋がらない実状があります。
なぜならば、いわゆる「130万円の壁」があるからです。
「130万円の壁」とは、パート労働者であっても、年間給与が130万円以上になると一気に20万円以上もの社会保険料を払わなければならなくなり、手取りが大きく減るので、130万円を超えないように仕事を制限せざるを得ないことを言います。
もちろん、130万円に満たないパート労働者などには賃金アップの恩恵があるでしょうが、多くのパート労働者が、給与が130万円を超えないギリギリの水準でコントロールしている中では、賃金が上昇した分、労働時間を減らさざるを得ないので、必ずしも収入増につながる訳ではありません。
一方、経営者にとっても、年末の繁忙期にパート労働者が減るので売り上げの損失にもなりかねません。
また、最低賃金を上げることで経費が増える為、体力の無い企業は雇用そのものを減らさざるを得なくなる可能性もあります。
このように、最低賃金のアップが、一部労働者の所得向上に繋がっていない上に、企業経営を圧迫したり、失業を増加させたりする懸念もあるのです。
そろそろ、社会保険制度の見直しとともに、最低賃金法の存在意義そのものが問われているのではないでしょうか。