靖国神社が昨年、天皇陛下に神社創立150年に合わせた参拝を要請したものの、宮内庁側が断っていたことが分かりました。
A級戦犯とされた旧日本軍人などが合祀されていることが断った理由と見られています。
A級戦犯を先の大戦の責任者と見るならば、戦争で亡くなった方のご遺族が合祀に反対する気持ちは理解できる部分があります。
また、実際にA級戦犯とされた人々も、敗戦の責任を取り甘んじてその罪を受け入れる気持ちがあったのではないかとも推測されます。
ただ、このA級戦犯とされる罪は多くの問題が残り釈然としないものです。
例えば、A級戦犯とされる罪は主に「平和に対する罪」であり、これは戦後に作られたものです。
後から作った法律により、さかのぼって罪を裁くということは現在の裁判ではありえないことです。
あるいは、A級戦犯を裁いた判事は全て戦勝国側の人間であり、被告にはまともな弁論をする機会が与えられていませんでした。
これも公正な裁判とは到底言えないものです。
しかも、1952年のサンフランシスコ講和条約の発効後、日本では戦犯釈放を求める国会決議が4回も行われたことから分かる通り、戦犯の名誉は既に法的に回復されているのです。
ですから、こうしたA級戦犯を理由に、天皇陛下が靖国神社を参拝できないというのは、すんなりと納得することはできません。
戦前、戦中は戦地で散った方の魂は靖国神社に戻って来るとされていました。
その靖国神社に、日本国の象徴である天皇陛下や、首相をはじめとした閣僚さえも参拝できない状況は、宗教的信条から考えても筋が通らないのではないでしょうか。