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12月
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20111208【野田首相は訪中で日本の国益を守る気概を示せ】

12月6日の新聞各紙によると、12日と13日に予定されていた、野田首相の訪中が延期されることになったとのことです。理由は、「13日が南京事件から74年に当たるため」と中国側から要請があったとのことです(※1)。しかし、13日が「旧日本軍が南京入城した日」に当たることは、当然以前からわかっていたことなので、なぜ中国側の外交儀礼に反するような直前になっての変更なのか解せません。

野田首相周辺は、年内の訪中を探っているようですが、いずれにせよ訪中が実現すれば日中両国は「戦略的互恵関係」を再確認するものと思われます。ここで、中国の言う「戦略的互恵関係」には注意が必要です。

中国政府は、今回の訪中時に、2003年を最後に中断していた国連海洋法条約に基づく東シナ海の「日中境界画定協議」の再開を提案しており、日本政府も再開を受け入れる方針です。この「日中境界画定協議」は、日中ガス田共同開発交渉にも影響を与えるばかりでなく、尖閣諸島の領有権にも関わる極めて重要な問題です。

この問題は、中国政府が国際的な常識に反して、自らの境界は「中国大陸棚の自然延長」とする「沖縄トラフ」までと主張していることにあります。国連海洋法条約の関連規定によると、双方の200海里までの排他的経済水域及び大陸棚が重なり合う部分について、双方の合意により境界を画定する必要があります。この国連海洋法条約の関連規定及び国際判例に照らせば、境界は「日中中間線」を基に画定することが国際的な常識なのです。

ここで問題となるのが2008年の「東シナ海ガス田の日中合意」です。これは、中間線より日本側海域のガス田も中国も参加して共同開発するというものですが、中国が主張する「沖縄トラフ」までを日中の境界とするならば、ガス田のみならず、尖閣諸島も中国のものとなってしまいます。

6日も、中国の海洋調査船が沖縄の久米島沖の日本の排他的経済水域内に侵入したため、海上保安庁が警告を行っています(※2)。野田首相の訪中を前にしたこの動きは、中国の主張する「日中境界」を既成事実化するような動きであり、野田政権への牽制とも取れます。

中国は、表向きには「戦略的互恵関係」を強調しておきながら、日本を中国の利益ために奉仕させる隠れた意図があります。今回の訪中の際に、野田首相に日本の国益を守る気概はあるのかが試されます。

※1:12月6日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111206/plc11120621150020-n1.htm

※2:12月6日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/111206/chn11120616480002-n1.htm

12月
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20111208【深きメルケルの悩み】

◆深きメルケルの悩み、ユーロ圏の盟主ドイツ、いつ動く(日経ヴェリタス  2011/12/04)

11月下旬、ドイツの主要都市では毎年恒例のクリスマス市が始まった。露店の店先の電飾がともる夕暮れどきになると、観光客のほか、勤め帰りの会社員でごった返す。南欧など周辺諸国の経済が落ち込む中で、小売関係者は「ドイツの個人消費は依然堅調だ」(独小売業者連盟)と自信を見せる。

独調査会社GfKによると、ドイツの消費者が今年のクリスマス商戦でプレゼントに支出する平均額はほぼ前年並みの241ユーロ(約2万5000円)。独流通大手メトロのエックハルト・コルデス社長は「今年のクリスマス商戦は期待できる」と強調する。基幹産業の自動車業界を中心に業績も上向き。大手では独ポルシェが賃金1カ月分のボーナス支給を決めた

危機と無縁の世界

止まらない欧州の債務危機。債務危機がイタリアなど中核国にまで波及し、国際金融市場が緊張している事態を踏まえ、日米欧の主要中央銀行は30日、ドル資金の供給拡充で協調。29日にはユーロ圏の財務相会合が欧州金融安定基金(EFSF)の規模拡大を決めた。そうした市場の危機モードとは無縁の世界がドイツにはある

ユーロ圏随一の経済大国であり、盟主のドイツ。危機の深刻化がユーロ存続まで揺るがしかねない事態となり、市場や各国はユーロ共同債の導入など多くの負担をドイツに求める。だが、ドイツは財政規律重視の持論を曲げようとしない。その根底には生真面目なドイツ人気質だけでなく、国民が「豊かなドイツ」を謳歌、それゆえに南欧には厳しいという現実がある。

独大衆紙ビルトの11月の世論調査では、回答者の63%が「ギリシャはユーロ圏から離脱すべき」と回答した。フランクフルト市でサービス業を営む50歳代の女性は「我々は働いて豊かになった。わいろ、脱税がまかり通るギリシャをなぜ助けなければならないのか」と憤る。

市民には南欧からの恩恵は見えていない。ドイツが経常黒字を出せるのはユーロ圏の赤字国である南欧がドイツからモノを買っているからだ。ユーロでもドイツは恩恵を受けている。もしマルクのままならマルク相場は急伸していたはずなので、ユーロのおかげでドイツは輸出に有利な通貨安を享受できたといえる。ドイツの貿易関連の業界団体BGAによると、2011年のドイツの輸出額は前年比12%伸び、初めて1兆ユーロを突破する

国民感情と開き

とはいえ、危機をこのまま止められないと、銀行の資産圧縮に拍車がかかり、実体経済の悪化を通じて自らの足元が揺らぐのは必至。そうした市場の懸念もあり、ドイツ国債は23日に入札が不調に終わり、29日には30年物の国債利回りが米国債の利回りをおよそ2年半ぶりに一時上回った。欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)のマルティン・ヴィンターコーン社長は「南欧財政危機の影響で来年の欧州事業はかなり厳しい年になる」と話す。

「ユーロが崩壊すれば欧州も崩壊する」。独メルケル首相はユーロを守る決意を述べるが、国民感情との開きは大きい。12月8~9日に欧州連合(EU)首脳会議が迫る中、板挟みに悩むドイツは欧州を救えるのか。

◆深きメルケルの悩み―ドイツは欧州を救えるか、支援拡大への抵抗、与党内に根強く(日経ヴェリタス  2011/12/04)

ドイツの紋章である巨大な白いワシが議場を見下ろすベルリンの連邦議会(下院)議事堂。2日朝、8~9日に開く欧州連合(EU)首脳会議への対処方針を説明するため演壇に立ったメルケル首相は、いつもの持論を繰り返した。「一夜で解決するような鳴り物入りの策などありません」

財政規律の改善に各国が地道に努力することこそ債務危機打開の王道。気前の良い支援など論外。中道右派の連立与党の中にはそんな「安定重視」の思想が深く染み渡っている。いくつもの危機の局面を経て、問題国の救済に向けた負担に応じてきたドイツ。さらなる救済拡大はできない。メルケル首相の20分間の演説は、そんな原理原則を見せつけたかのような場面だった

野党は「不作為」攻撃

一方で野党勢力は、結果として市場の不安をあおるかのようなメルケル首相の「不作為」を攻撃する。2日の議会審議でも2009年まで大連立でメルケル内閣の副首相・外相を務めたドイツ社会民主党(SPD)のシュタインマイヤー院内総務が「債務危機が生じたこと自体であなたを非難する人はいない。しかし危機にどう取り組むかをみれば、あまりにひどすぎる」とメルケル氏に批判の言葉を浴びせた

SPDは財政規律の徹底とともにユーロ共同債の早期導入に積極的で、バローゾ委員長など欧州委員会の「連帯重視」の立場に近い。シュレーダー政権の連立相手だった連合90・緑の党も積極的な危機対応を要求する。与党との差を際立たせる思惑があるとはいえ、ドイツ国内にはこうした市場の感覚に近い主張もある。

米国のオバマ大統領をはじめ、海外各国からもドイツの対応の鈍さを批判し、大胆な行動を求める圧力が強まり続けている。昨年5月、ギリシャ危機の不安が止まらず世界市場が大揺れとなった時、メルケル首相は欧州金融安定基金(EFSF)の設立など巨額の金融安全網を敷くことをギリギリの局面で了承した。一言で言えば、その際のような「心変わり」を周囲はメルケル氏に強く期待する。

ところがその時の決定に対する不満が、連立与党内の支援消極論を勢いづかせる。「ドイツの不思議」を理解するには、そうした政治情勢に目を配る必要がある。

今年5月時点で、メルケル首相が率いる会派の陣営のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は237議席。これと連立を組むのがリベラル派の自由民主党(FDP)だ。FDPは09年秋の総選挙で史上空前の支持を集め93議席を得ており、双方で330議席と全620議席の過半数を握る。だがメルケル会派のうち姉妹政党の「社会同盟」(CSU)は保守色が強い南部バイエルン州の政党。FDPも「小さな政府」の主張から伝統的に他国支援の拡大を強く警戒する立場だ。

真の首相勢力である「民主同盟」(CDU)は政権与党として国際情勢にも目を配る立場。CDUには欧州内で浮上するユーロ共同債の導入など積極的な危機対応策にいずれは追い込まれるとみる「現実派」が少なからずいる。ところがCSUやFDPは自らの存在感を維持する狙いもあって支援拡大に後ろ向きの議論が支配する。これらの勢力を束ねるのは容易ではない。

たとえば10月末のEU首脳会議で合意したEFSFの能力拡大策。「レバレッジ(テコの原理)」を利用して海外諸国や国際機関などの資金を元手に実際の基金規模を上回る支援を可能にする内容だが、CSUのゼーホーファー党首はその1カ月前に「レバレッジはダメだ」と強く否定。ドイツが負うリスクが高まるのは容認できないという立場を強調した。CSUは結局、10月のEU首脳会議を前にした金融市場の緊迫を受けて、能力拡大を「黙認」したが、ドイツのさらなる負担を受け入れられる雰囲気にはない。

厄介な連立相手

連立相手でさらに厄介なのがFDPだ。「ユーロ共同債は金利の『社会主義』だ。絶対に認められない」。FDPのリントナー幹事長は危機国の金利負担を一方的に軽くする共同債の導入論に激しく反対する。ギリシャの「秩序だった債務再編論」を唱えて市場を混乱させたのも、政権ナンバー2の副首相兼経済技術相でもあるFDPのレスラー党首だった。

FDPは党首の指導力不足や減税政策などにこだわる党の姿勢が国民に嫌われ、政党支持率が2~3%と選挙で議席を失う水準にまで落ち込んでいる。この先、危機対応で独国民の持ち出しが増えるような政策を出せば面目をさらに失いかねず、支援反対論は過激さを増している。

メルケル首相が「決断」に及び腰なのは、規律重視という原則を揺るがせば国民の支持が離れ、しかも与党内勢力の離反も招きかねないという政治的なリスクと無縁ではない

ギリシャが危機に陥って以来、ジワジワと広がり、ついにイタリア、そしてフランスにも至った不安。ドイツ国債の入札が不調に終わる事態も生じた。金融市場はそれを「ドイツの対応の鈍さが根源」と批判する。だがドイツの一般的な感覚では「だから財政規律は大切」となる。板挟みのメルケル首相はそのズレを見すえ、厳しい批判を承知で原則論を堅持するしかない。

最後に欧州を救えるのはドイツしかないということは、首相自身が一番わかっているはずだ。だが国内政治と世論の環境は、甘い措置を許さない。「財政規律の強化」という旗を下ろさず、突き進むメルケル氏の人知れぬ悩みがそこに潜む。

欧州債務危機を止める「最後の砦」として期待されるドイツ。南欧諸国の苦境を横目に財政規律重視の持論を曲げずにいる。国内世論と国際情勢の板挟みでメルケル首相の苦悩は深まる。ユーロ圏の盟主ドイツは欧州を救うことができるのか。

◆企業、積極投資へ転換、手元資金60兆円、3年ぶり減―円高でM&A最高(日本経済新聞 朝刊  2011/12/03)

上場企業の手元資金が9月末時点で60兆円と3月末を8%下回り、半期ベースで3年ぶりの減少に転じたことが分かった。2008年のリーマン・ショック以降、多くの企業は財務の安全性を重視して資金を積み増してきたが、グローバル競争の激化に対応して余裕資金の活用にカジを切ったためだ。円高を背景に海外企業の買収件数は過去最高となり、低迷する株価のてこ入れを狙った増配も相次いでいる。(手元資金は3面「きょうのことば」参照)

3月期決算の上場企業で、連続してデータがとれる1742社(金融・電力・新興2市場除く)について日本経済新聞社が集計した。

現預金、短期保有の有価証券などを合わせた手元資金は9月末時点で60兆2223億円。過去最高だった3月末を約5兆円下回った。全体の約6割にあたる1041社で減っており、余剰資金の活用が進んだ。

資金使途で目立つのはM&A(合併・買収)を柱とする戦略投資だ。武田薬品工業は、スイス製薬大手ナイコメッドの買収資金1兆650億円のうち5000億円近くを手元資金で賄った。第一三共も米創薬ベンチャー買収で手元資金を減らした。トムソン・ロイターによると、4~9月の日本企業による海外M&Aは326件と半期で過去最高となった。

10月以降も攻めの投資が活発だ。伊藤忠商事は米ファンドなどと米石油・ガス会社サムソン・インベストメントを買収。手元資金800億円を取り崩す。「今後も積極的に海外投資を進める」(岡藤正広社長)という。ユニ・チャームは米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などとの競争に対応し、今期から3年間で海外投資に計600億円を投じる。ほぼ全額を自己資金で賄う。

ソニーは半導体関連の設備投資、三菱地所は東京・丸の内再開発事業の原資にそれぞれ手元資金を充てた。トヨタ自動車や住友金属工業は、東日本大震災の復旧などに活用した。

株主への利益配分を増やす動きも目立つ。12年3月期の純利益はリーマン・ショック前(08年3月期)の約7割にとどまるが、配当総額は8割強に回復する。

今期は「減益でも増配」の企業も85社にのぼる見込み。日産自動車は「最終利益の25%は配当に回す」(カルロス・ゴーン社長)方針に沿って、年間配当を20円と前期の2倍にする。6割減益の住友化学も増配する

◆手元資金―リーマン後は増加続く(きょうのことば)(日本経済新聞 朝刊  2011/12/03)

▽…現金、預金、短期保有の有価証券など、企業が比較的自由に使える資金のこと。財務の健全性を測る尺度として注目され、手元資金が潤沢な企業は収益悪化への抵抗力が高い。半面、必要のない資金をため込んでいると、株主から成長投資や増配などを求められることもある

▽…2008年秋のリーマン・ショック後、企業は投資を絞り手元資金を積み上げる「守りの財務」を続けてきた。こうした傾向は東日本大震災後に強まり、今年3月末の上場企業の手元資金は過去最高になった。最近は円高を生かした海外投資が目立ち、日本企業による海外企業のM&A(合併・買収)件数は過去最高水準で推移している。

◆デフレ経済、実感とズレ、食品など必需品値上げ、テレビなど大幅値下げ(日本経済新聞 朝刊 2011/12/05)

消費者のデフレ予想が薄らいでいる。10月の消費者物価指数(CPI)は4カ月ぶりにマイナスに転じたが、消費者の7割は先行きの物価上昇を見込んでいる。モノやサービスの価格が「二極化」し、食料など必需品の価格が上がっていることが背景だ。ただ、日本の主力産業は値下げ競争が激しい分野にあり、生活感覚とは裏腹に、デフレ脱却の道のりは遠そうだ。(関連記事3面に)

10月の全国CPIは値動きが激しい生鮮食品を除くベースで前年同月比0・1%下落。前年のたばこ値上げなどの特殊要因が消え、より実態に近づいた。

原油や穀物高騰

専門家の間ではデフレ基調は続くとの見方が支配的だ。日銀は10月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で2011年度、12年度とも物価上昇率は0%近辺と予想。民間エコノミストでは、マイナス0・1~0・2%との予想が多い。

にもかかわらず、消費者の見方は異なる。内閣府の10月の消費動向調査によると、1年後の物価見通しは「上昇する」との回答が69・6%と前月比2・4ポイント増加。直近の底だった09年12月(29・2%)から40ポイント以上増えた。消費者がデフレを実感しにくい最大の理由は原油や穀物など商品市況の高騰で、生活必需品の値上げが増えていることだ。

CPI(生鮮食品を除くベース)の個別品目をみると、価格が上昇した品目の割合は36%に拡大。下落は51%と、直近のピークだった10年5月(68%)に比べて縮小した。来年1月には家庭用小麦粉や蛍光灯などの値上げが相次ぐ。

CPIは財とサービスに分かれ、構成比率は半々。財は家電など「耐久財」と衣類など「半耐久財」が各7%、残り36%が食料品やガソリンなど「非耐久財」だ。消費者のデフレ予想が強まった2002~04年と09年は、3つの財すべてが下落基調だったが、最近は非耐久財が上昇している点が違う。

下落が続く耐久財はパソコンなど家電を中心に、メーカーが激しい価格競争を繰り広げている。ただ、消費者はそう頻繁に耐久財を買うわけではなく、前の購入価格と比較してデフレを実感する機会は限られる。

これに対し、食料品は食パンや砂糖、コーヒーなどの価格が上昇。東日本大震災後は電気代など公共料金の引き上げも加わった。

買い控えで拍車

雇用者の現金給与は97年をピークに減り、必需品価格の上昇で低所得世帯中心に実質購買力は下がった。家計調査で消費支出に占める「食料」と「光熱・水道」の割合は今年1~10月平均で31・4%と、同統計を遡れる00年以降で最大。消費者は自動車など耐久財は購入を控え、一段の価格下落を招く構図だ。

自動車など輸送用機械と電気機械は製造業生産額の5割弱を占める日本の主力産業。海外でも韓国メーカーなどと価格競争を迫られ、収益環境は厳しい。働く人は賃金上昇を見込めず、生活防衛の色彩を強める。クレディ・スイス証券の白川浩道チーフ・エコノミストは「賃金が上がらない限り、耐久消費財の持続的な価格上昇は見込みにくい」と指摘する

◆危機先人に学ぶ――ハイエク(6)国際基督教大学八代尚宏氏(やさしい経済学)(日本経済新聞 朝刊 2011/12/01)

国際基督教大学客員教授 八代尚宏

福祉国家の功罪

米ウォール街占拠に端を発した反格差デモが先進国に広がっている。ハイエクが仮にこのデモを見れば、若者の雇用機会減少や賃金格差拡大の現状を改善するためには、政治的な圧力だけでなく、市場の活用を進めよと説くはずである

輸出産業と、輸入品と競合する産業との間では、必要とされるスキル(技能)の内容が異なる。この結果、世界的に貿易が拡大するなか、労働生産性や賃金の差の拡大が生じたのだ。それだけに、反グローバリズムを唱えても、世界の潮流から取り残され、じり貧になるのみである。

低賃金労働者の待遇改善は、過去の高い成長期と同様、新しいスキルの向上や低生産性部門から高生産性部門への労働移動によりはじめて達成される。このために必要な教育訓練への公的支援や、転職を支援する健全な人材ビジネスの育成こそが政府の役割である。

ハイエクは、既得権を守る労働組合やそれを支える労働法制などによる労働市場の硬直性が、市場を通じた所得格差の縮小を妨げる大きな障害であると指摘した。著書「自由人の政治的秩序」では、「市場への最大の脅威は、個々の企業ではなく組織された集団の利己主義」であり、「組織不能な利益集団が、組織可能な利益集団の犠牲にされる」としている。これは現在の日本における、組織された正社員とそうでない非正社員・新卒者との間の「労・労対立」を予見していたともいえよう。

ハイエクは、福祉国家の拡大が世代間格差を広げることも指摘していた。「一定年齢を超える人の所得源が政治的に定められる年金で、将来の世代に対して彼らが進んで負担しようとする以上の負担を負わせることになる」(「福祉国家における自由」)

日本では、所得格差の大きな高齢者層の比重が高まり、これが社会全体の所得格差を拡大させる主要な要因となっていると、大竹文雄阪大教授が指摘した。それにもかかわらず、年金の支給開始年齢の引き上げや高齢者の医療保険料負担増に対する抵抗は大きい。減少する一方の後代世代に社会保障負担を先送りするのではなく、豊かな高齢者が貧しい高齢者を扶養する同一世代内の所得再分配の強化が求められている。

◆バローゾ委員長、ユーロ圏各国に予算監督強化を提案 共同債発行検討も(2011.11.23 産経ニュース)

【ロンドン=木村正人】欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会のバローゾ委員長は23日、単一通貨ユーロ導入国に対し各議会に予算案を上程する前に報告を求め、EUの「財政査察官」を強制的に派遣するなどの対策を提案した。重債務国の資金調達を助けるためユーロ共同債の検討も求めた。提案をたたき台に12月のEU首脳会議で財政規律の強化策を協議する。

バローゾ氏は記者会見で、毎年10月15日までにユーロ導入国に予算案の報告を求めるとし、財政赤字を国内総生産(GDP)の3%内に抑える安定成長協定を守れない国には予算案再編を要請する対策を提案した。応じない場合は公表して圧力をかける方針だ。

また、債務危機の抜本的な解決策としてユーロ圏が共同で債務を保証する共通債「安定債」の導入検討を提案。(1)ユーロ導入国が発行するすべての国債を安定債に転換(2)導入国がそれぞれの国債を発行する一方で債務の一部を安定債に転換(3)重債務国の債務について一部を安定債に置き換えて個別に保証する-の3案を示した。

安定債の導入にはEU基本法「リスボン条約」の改正が必要となるとみられるが、メルケル独首相は「ユーロ共同債は機能しない。適切ではない」と猛反発しており、現時点での導入は困難とみられている。

【所感】

メルケル首相がポルトガル出身のバローゾ欧州委員会委員長のユーロ共同債の提案に猛反対しています。もっともだと思います、誰が最後まで責任を持って債務(借金)を返済してくれるか? ユーロ安定債を買う側の立場で考えれば、反対する理由がはっきり見えてきます。

最後に返してくれる国として残るのはドイツしか無いと誰もが心の中で思っています。逆の視点に立てば、欧州が抱える借金のツケがかなりドイツにまわってくることと同じです。「我々がアリのように勤勉に働いて貯蓄したのは、遊んで暮らすキリギリスなんかのためじゃない!」と自国民に訴えられたら..と思うと同情します。

米国はドルを大量に印刷して危機を脱したので、ユーロも大量に印刷すべきと圧力をかけてきます。この問題も結局、共同債と同じです。ユーロは実質ドイツの貨幣と見做されることになります。ドイツ国民はインフレでお金(ユーロ)の価値が下がると思うから、やはり怒ります。「キリギリスのお陰で折角の蓄えの価値が下がってしまった!」

アメリカは、「その分ドイツは多くのベンツが売れたはずじゃないか!」と突き放します。でもメルケル首相にとってみれば、イソップ物語のアリのようにキリギリスに巻き込まれないですむ方法は見つからないということです。

深きメルケルの悩みとは、失礼ながら、よくぞ思いついたものです。

日本ならこの悩みを解決できるかもしれない立場にあるのに、中央銀行総裁は先日のドル供給策に関して「あくまで短期の解決策で危機を回避したわけではない」と他人事のようなコメントを発表しています。 穿った見方かもしれませんが、「金融緩和で欧州危機は解決されない(日本と同様に)」と予防線を張ったのではとの印象を持ちました。

日本が信用を供与(債権を購入)すれば、ドイツ人の痛みを緩和しつつユーロを刷ることも可能になります。ベンツやワインを輸入することで米国型の景気回復も可能になります。日本以外の国は日本のことを“アリギリス”だと思っています、引っ込み思案はもうそろそろ止めなければなりません。

12月
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2011/12/05【ギリシャ・イタリアに見る「福祉国家を成り立たせなくしているのは“公的年金”!?」という視点とは】

野田首相は11月25日の参議院本会議で、2013年の通常国会に公的年金制度の抜本改革関連法案提出を目指す考えを明らかにしました(※1)。これに先立つ20日、民主党の前原政調会長は、公的年金制度の抜本改革の財源確保で必要となる消費税率について、将来的には「10%では不足する」との考えを示唆しました(※2)。

野田政権は、ギリシャやイタリアなどの借金財政からくるユーロ危機に関して、「日本としては消費税率を引き上げて社会保障を成り立たせなければならない」と考えているようですが、現実には、先進国の福祉国家そのものが成り立たなくなっているとの指摘があります。

10日のウォールストリート・ジャーナル日本版は、「ギリシャ、スペイン、ポルトガル、またフランスと同様、イタリアでは社会福祉制度が行き詰まりを見せている」「イタリアやその他の欧州諸国が示す教訓とは、税金が高く、成長の低い福祉国家になってはならない、ということだ。必ず来るその報いは、不愉快で猛烈で、長引くことになる」と指摘しています。

つまり、ギリシャやイタリアなど、福祉国家を成り立たせなくしているのは、公的年金だというのです。日本も、現状の給付水準を消費税で賄うとすれば、税率は10%どころか30%以上必要との試算があります。現行の年金給付水準では、若い世代ほど納付した年金の合計に対して将来給付される額がマイナスになり、これでは若い世代の納付意欲が無くなるわけです。

「国家が運営するねずみ講」ともいえる現行年金制度は早急に改めるべきですが、野田首相が表明した2010年代半ばまでに消費税を10%に引き上げることは、まさに「税金が高く、成長の低い福祉国家」への道であり、「その報いは、不愉快で猛烈で、長引く」ものとなます。

政府や財務省は、「安定的な財源」として消費税をあげています。しかし、「増税」を一般企業で考えれば、「売上げが少ないから商品の値段を上げる」のと一緒で、国民の可処分所得が増えていない状況での値上げ(=増税)は、かえって売上げ(=税収)を減らします。必要なのは増税ではなくむしろ減税です。よって、年金は積立方式を検討するとともに、まずは景気回復を図ることを優先すべきです。

※1:11月25日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111125-OYT1T00761.htm

※2:11月20日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111120-OYT1T00494.htm?from=popin

12月
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2011/12/04【野田政権の本質は“社会主義”】

目にされたかたも多いと思いますが、12月4日付の新聞各紙に「すべての国民の皆さまへ―社会保障と税の一体改革について―」と題して、政府広報・内閣官房の全面広告が載りました。

その中で野田首相は、日本の現状について「世界最速の高齢化で、年金・医療・介護など必要な社会保障費は毎年1兆円以上も自然に増えていくんです」、「この国の歳出で増えている部門は、専ら社会保障費なんです」、「どなたにも、社会保障は必要になります。だから、世代を超えて、公平感がある税金で《お互いを支え合う》んです」などと述べています。

しかし、野田首相の現状認識は誤っています。誰でもわかるはずですが、毎年1兆円も自然増する社会保障費をそのまま国民からの税金で賄おうとすれば、税金をいくら取っても足りなくなります。日本の歳出の中で、ここ50年の間に比率が増えているのは、主に社会保障関係費と国債費です。これは、社会保障を手厚くするために借金を増やしてきたということです。今、債権危機が問題となっているギリシャなども同様です。つまり、福祉国家は財政危機を招くということが分かったのです。

にもかかわらず、増税に邁進する野田首相は、松下政経塾出身のハズなのに、政策に社会主義的な傾向が強くにじんでいます。実際、民主党政権は、消費税増税と合わせて「給付付き税額控除」を検討しており、その際に「共通番号制度」が必要になると考えています。「共通番号制度」が導入されれば、預貯金、借金、株取引の収入、年金、失業給付など、国民のあらゆるお金の出入りを国家が監視できるようになります。まさに、民主党政権の本質は社会主義であるといえます。

やはり、あらゆるものの発展・繁栄の源泉には自由が必要です。様々な理由で国民の自由を奪う政策を進める民主党政権を容認することはできません。まず行うべきは増税ではありません。これからは、いかに社会保障費を削れるかが、健全財政の指標になっていきており、ヨーロッパでもその動きは既に始まっています。よって、まずやるべきは年金や医療制度の改革なのです。

12月
4

2011/12/04【小沢氏は政界再編を目指すのか】

野田首相は、12月3日に都内で開かれた会合で、「TPP交渉参加」、「安全保障」、「消費税率引き上げ」の三つを挙げ、「自分の代で、捨て石になってけりをつける」などと語ったとのことです(※)。具体的な内容は検討の余地がありますが「TPP交渉参加」と「安全保障」についてはいいとして、「消費税率引き上げ」については断固反対です。

日本の急速な少子高齢化は、社会保障費を増加させて、深刻な問題となっていることは理解できます。しかし、デフレ不況下の今、消費税増税に踏み切れば、いっそう消費は冷え込み、所得税や法人税の税収は減ることが目に見えています。実際、消費税が導入された1989以降、消費税自体の税収は、消費税増税時を除けば、横ばいか微増傾向であるのに対し、所得税と法人税は減少傾向にあります。そして、1997 年の消費税増税以降、税収は一度も1997 年を上回っていません。つまり、消費税増税をしたからといって、社会保障の財源が確保できるとは限らないのです。

野田政権のこの消費税増税の流れに対して、民主党内でもついに小沢氏が動き出しました。小沢氏は、民主党内の反増税派を結集しようと、党所属国会議員を対象に、消費税増税に反対する署名活動に乗り出すとのことです。小沢氏は、来年1月に被告人質問を控え、かつてのような求心力は無くなりつつあります。一方で、このままでは次の選挙で勝てないと危機意識を持っている民主党所属国会議員が数多くいます。そこで、小沢氏は、「反野田」「反財務省」を御旗に、党内の反増税派を糾合して国民の支持を取り戻そうという考えのようです。

被告人とはいえ、未だに小沢氏の剛腕に期待する声が多いのも事実です。「反増税」ならば、党を超えて支持を得られる可能性もあるので、「壊し屋」の異名を持つ小沢氏は、党を割って政界再編を仕掛けることも考えられます。

先の衆議院選挙で「4年間は増税しない」ことを掲げて政権交代を果たした民主党ですが、野田首相は、11月初めにフランスで開かれたG20サミットで、国民に信を問うことなく消費税引き上げを国際公約として表明しました。これは明らかに国民軽視と言えるものです。果たして、小沢氏は増税に待ったをかけることができるのか注目です。

※:12月3日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111203-OYT1T00698.htm

12月
3

2011/12/03【涙が止まりません。今年で12人目となるチベット僧侶による抗議の焼身自殺の理由】

中国のチベット自治区で12月1日、チベット仏教僧侶が焼身自殺を図りました(※)。

中国で焼身自殺を図ったチベットの僧侶は今年に入って12人目とのことです。

いずれも、中国当局によるチベットに対する締め付けへの抗議の可能性が高いとのことです。

彼らはなぜ、命がけで中国に対して抗議するのでしょうか。

チベット生まれで桐蔭横浜大学大学院教授のペマ・ギャルポ氏の話(ザ・リバティ3月号)でチベットの歴史を少し紐解いてみます。

「平和な独立を保っていたチベットの状況が一変したのは、1949年に、中華人民共和国が成立して以降のことです。チベットでは仏教が尊ばれ、政治、経済、文化などあらゆる分野に強い影響力を持っています。そこに目をつけた中国は『キリスト教とそれに伴う帝国主義者から仏教を守る』と言って無理やりチベットに侵攻し、途中から『封建社会から人民を解放する』と言い方を変えて、地主や貴族などをやり玉に挙げて民衆の嫉妬や憎悪をあおり、次々と処刑していきました。そして、最終的にはダライ・ラマ法王を頂点とする僧侶たちを標的とし、『宗教はアヘンである』として、お寺の9割を破壊し、僧侶の9割以上が殺害または強制的に還俗や国外逃亡を余儀なくされました。国際司法委員会も中国を告発していますが、1950年から1984年までに虐殺で亡くなったチベット人の数は120万人を超えると言われています。現在、チベット自治区では、基本的人権はもちろん、思想、言論、出版、結社などあらゆる自由がありません。」

このように、中国に侵略された民族は悲惨です。

]チベットでは、国が亡ぶとともに、自らの文化も奪われたままです。

中国民族問題研究会代表の殿岡昭郎氏は「チベットは、ダライ・ラマ13世が、近代的な官僚機構や軍隊の整備、国際連盟への加入などを目指しましたが、既成勢力である貴族や僧侶が反対した。

連盟に加入して国家として広く認知されていたら、人民解放軍の侵入はなかったかもしれません。」と述べています。

翻って日本を見てみると、前沖縄防衛局長や一川防衛大臣の発言などの影響もあり、沖縄県内では一段と米軍基地の県外移設の機運が高まっています。

民主党政権の不誠実な態度は極めて問題ですし、沖縄県民皆さんの今までの御苦労も察するに余りありますが、沖縄を取り巻く安全保障上の国際情勢も楽観できる状態にはありません。

強力な抑止力である米海兵隊を沖縄から遠ざけることは、将来的にどのような危険を招く可能性があるのかを、予断を捨てて客観的に検討する必要があります。

※:12月2日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/111202/chn11120221360003-n1.htm

12月
3

2011/12/03【憲法審査会での形だけの議論に終わらせるな】

11月28日に、参議院でも憲法審査会が初の審査を行い、各党の意見表明が行われました。そして、12月1日には、衆議院の憲法審査会で、憲法改正手続きを定めた憲法96条の改正などをテーマに自由討議が行われました。

憲法審査会は、安倍政権時の2007年5月に国民投票法の成立を受けて、憲法についての総合的な調査を行う「憲法調査会」と、国民投票法を審議する「憲法調査特別委員会」の2つの機関が統合され、その年の8月に設置されたものです。

しかし、民主党が委員名簿の提出に応じなかったため、憲法審査会の設置から4年もの間、国家の根幹となる憲法改正の審査が行われず、11月17日に初めて衆議院で憲法審査会が開かれたものです。民主党が委員名簿の提出に応じなかった背景には、党内の改憲派と護憲派との対立で原案をまとめられなかったことがあげられます。今回、民主党が憲法審査会の名簿提出に応じたのは、ねじれ国会の審議を円滑に行うための材料にしたいがためです。

このような状況では、民主党は、具体的な憲法改正論議に消極的であることは明らかです。憲法審査会での審査を、「とりあえずやっている」といった具合に、形だけ行っている姿勢を見せるだけにとどまることが懸念されます。

戦後60年が経ち、機能しない国会や厳しさを増す国際情勢などを踏まえると、日本国憲法には様々な弊害が生じています。実際、今年9月の読売新聞社の全国世論調査では、憲法を「改正する方がよい」と答えた人は43%、憲法改正の議論を望む人は計72%となっており、多くの国民が改憲論議を求めていることが明らかです。

例えば、国防費を大幅削減していく米国との同盟のあり方をどうするのか、中国の覇権主義に対して防衛のあり方をどうしていくのか、という問題は日本の安全保障の根幹を問う重大事です。最終的には憲法9条を改正しなければ、この国を守り抜くことはできないことは明らかです。

憲法審査会が形式的には設置されても、事実上、機能していないのであれば、国会は「国民の生命・安全・財産を守る」という最重要の責務を果たしているとはいえません。政府は憲法審査会において、実質的で本質的な憲法改正論議をスタートすべきです。

※:12月1日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111201-OYT1T01055.htm

12月
2

2011/12/02【作して述べよ】

◆ドル資金供給協調、日米欧の6中銀が緊急策、欧州銀の調達支援(日本経済新聞 朝刊 2011/12/01)

国際金融市場での緊張の高まりをふまえ、日米欧の主要中央銀行は30日、市場へのドル資金供給を拡充するための協調対応策で合意した。米国が中銀にドル資金を供給するときの金利を0・5%引き下げ、金融機関がドル資金を容易に調達できるようにする。2008年のリーマン・ショック時に導入したドル資金供給の枠組みを大幅に拡充。欧州の債務危機がグローバルな信用不安を招き、金融機関の資金繰りが行き詰まるのを防ぐ。(関連記事3面、協調対応策の要旨7面に)

協調策で合意したのは日銀、欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備理事会(FRB)、英イングランド銀行、カナダ銀行、スイス国立銀行の6中銀。

日銀は30日夜に臨時金融政策決定会合を開き、ドル資金供給に関する措置を決めた。白川方明総裁は記者会見で「(中銀が)協調して資金供給で万全の体制をとっていることは市場の安心感につながる」と強調した。ECBはさらに民間銀行が従来よりも少ない担保でドル資金供給を受けられるよう制度を改正した

協調策の柱となるのは米国と各中銀のドル資金融通。現在はFRB(ニューヨーク連銀)が市場金利に1%を加えた金利で各中銀にドル資金を供給するが、この上乗せ幅を1%から0・5%に引き下げる。各中銀は民間金融機関にドル資金を供給するときに金利を0・5%下げる。

中銀が低い金利でドル資金を大量供給する枠組みが整えば、金融市場でドル資金を調達するのが難しい銀行も資金繰りが容易になる。金融市場の緊張を映して急上昇しているロンドン銀行間取引金利(LIBOR)などの市場金利に低下圧力をかける狙いもある。

欧州の債務危機をきっかけに金融市場ではドル資金が取りにくい状況が続いていた。イタリアやスペインの国債利回りの上昇(価格下落)によって欧州の金融機関の信用不安が拡大。銀行がドル資金を手元に抱えるようになったため、一部の銀行は市場からドル資金を調達するのが難しくなっていた。

欧州市場のドルの貸出金利の指標であるLIBORは11月22日には約1年4カ月ぶりに0・5%を突破。ECBなどが実施しているドル資金供給でも民間銀行の応札が多く集まっていた。

主要中銀はドル資金の調達難が国際的な金融システム不安につながるのを懸念。08年秋のリーマン・ショック以来の金融危機に発展する事態を回避するため、ドル資金供給の拡充で合意した。

協調策はリーマン・ショック時に信用不安から金融市場でドル資金が足りなくなる事態になり、日米欧の中銀が実施。10年2月にいったん終了したが、その後のユーロ不安などを受けて10年5月に再開された。

○スワップ協定に基づく中銀のドル資金供給の金利を0・5%引き下げ。12月5日から実施

○協定の期限を2013年2月1日まで6カ月延長

○米ドル以外の通貨も融通する多角的なスワップ協定を締結

○各中銀は民間銀行へのドル資金供給時に市場実勢金利への上乗せ分を0・5%下げ

○ECBはドル資金供給時に民間銀行が差し入れる担保の基準を緩和

▼  ドル・スワップ協定 金融機関のドル調達を支援するため、米連邦準備理事会(FRB)が日欧の主要中央銀行と結んでいる協定。FRBの窓口となっているニューヨーク連銀がそれぞれの通貨と交換(スワップ)する形でドル資金を主要中銀に供給する。中銀は国債などの担保と引き換えに民間金融機関にドル資金を貸し出す。

◆危機回避へ応急策、日米欧中銀がドル調達支援―欧米銀不信払拭狙う(日本経済新聞 朝刊  2011/12/01)

【ニューヨーク=西村博之】日米欧の主要中央銀行がドル資金の供給拡充で新たな協調策を打ち出したのは、欧州債務危機の深まりで金融機関のドル資金調達が難しくなっていることがある。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が29日に米欧の大手銀の長期債務を一斉に格下げしたこともあり、資金繰りが一段と逼迫しかねない状況だった

銀行が短期資金をやりとりする市場では需給が一段と引き締まり、30日にはロンドン銀行間取引金利(LIBOR)のドル3カ月物が0・53%近くまで上昇。市場の緊張度合いを示す米国債3カ月物との金利差「TEDスプレッド」は、0・51%程度と2009年6月上旬の水準に広がった。

財政危機が深まる欧州ではギリシャやイタリアなどの国債が大きく値下がりし、これらを大量に保有する銀行の経営不安が台頭。互いの健全性に疑心暗鬼になった銀行が資金を出すのに尻込みしているという。

米国では金融危機後に銀行が自己資本を厚くしたこともあり、今のところ欧州銀ほど状況は深刻でない。だが「欧州向け融資などで米銀大手の損失が膨らむ」との懸念が強まり、S&Pが算出する銀行株指数は年初から2割強も安い水準だ。

S&Pが格下げした銀行のリストにはバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスなど米銀大手が名を連ねた。今回の格下げは金融危機の反省に立った格付け基準の見直しが理由となっている。米大手銀からは「経営が悪化したわけでない」と抗弁する声も聞かれる。

だが基準見直しは景気の下振れや政府の銀行救済が見込みにくくなった実情に合わせるためで、銀行の経営リスクが膨らんだ点に変わりはない。格下げが資金調達に影響するのは避けられそうにない情勢だ。バンカメとモルガンは短期債務も格下げされた。つなぎ資金の調達金利が上がったりする懸念がある。

◆フィンランド欧州相、「欧州基金に日本も協力を」(日本経済新聞 朝刊 2011/12/01)

ユーロ圏財務相会合が欧州金融安定基金(EFSF)の規模拡充を決めたことに関し、フィンランドのストゥブ欧州・貿易相=写真=は30日、都内で「ユーロの安定に寄与する」と歓迎の意向を示した。そのうえで、「外部から資金の受け入れが必要になる局面では日本の協力も求めたい」と述べた

ストゥブ欧州相は「EFSFの拡充は、問題国が今後現れた際の救済に役立つ」と強調した。また「国際通貨基金(IMF)の資金の活用をタブーとしなくなったのは大きな変化だ」と語った。

ユーロの混乱拡大については「今や市場が政治を支配しているようなもの」と指摘。「各国が財政規律の重要性に目覚めたのは市場の警告のおかげ」としつつ、「すべてを市場任せにするのではなく、共通のルールによる政策運営も大切だ」と述べた。

【所感】

◇どう見ても欧州の危機は最終コーナーに入りつつあるように見えます。私なりに要約すると、ギリシャの破綻を視野に、その後の主導権を巡ってフランスとドイツが駆け引きを繰り返している間に、ヨーロッパの民間銀行間の与信が怪しくなってきて、ドルを供給するスキームを急遽作り出さざるを得なくなったということです。IMFの支援では足りなく、EFSFを創設し日本の支援を仰ぐ。 IMFの支援を受けることは1998年のアジア危機で韓国が経験したように米国主導の厳しい財政改革と構造改革を迫られるので欧州各国には強い抵抗感があったようですが、もはや背に腹は代えられない状況と認識されているようです。米国の金融機関も足元がぐらついています。

◇論語に述而不作という言葉があります。私(孔子)は聖賢の言葉を伝えるのであって、(真理は)作らないという謙虚な言葉です。わが国のリーダーは、「欧州の金融危機の先はどうなるのか分からないから、(その状況は)述べることはできても、(危機解決策は)作りません」で済ませてはいけません。こういう態度を論語読みの論語知らずと言います。

◇孔子様は述而不作の後にこうおっしゃっています、「道徳に従わないこと、学問を学ばないこと、必要な時に行動できないこと、欠点を正さないこと、こんな風に成らない様に私はいつも心配している」(子曰、徳之不脩也、學之不講也、聞義不能徙也、不善不能改也、是吾憂也)

◇政治家は世界に貢献する大きな夢(新たな信用と未来産業の創造)を作して、述べなければ(提案しなければ)なりません。お立ち台に立ってくださいと促されているのに、ぐずぐずしているようではわが国の使命は果たせません。

12月
1

2011/12/01【復興財源の臨時増税期間25年は事実上の恒久増税です】

11月30日、東日本大震災の復興財源を賄う臨時増税を盛り込んだ復興財源法が、参議院本会議で可決、成立しました(※1)。この臨時増税は、再来年の1月から所得税を2.1%上乗せするもので、期間は25年と実質的に恒久増税と言えるものです。

私たち幸福実現党は、2009年の立党以来、一貫して「減税」を言い続けていますが、今回の復興財源法の成立を受けて、立木(ついき)党首が声明を発表しました(※2)。以下にその要旨を記します。

・所得増税を25年に期間延長することで事実上の恒久増税となり、「将来世代に負担を先送りしない」との復興増税の論理は完全に破綻している。

・国債の日銀引き受けや国債整理基金特別会計の剰余金活用等による財源捻出が可能だったにもかかわらず、国民に負担を強いる増税が決定された。

・政府・日銀は、政府短期証券の発行による民間調達である資金、約12兆円を用いて効果の薄い単独為替介入を実施したが、この介入資金枠をこそ復興財源に回すべきであった。

・野田政権は今回の臨時増税だけでなく、消費増税路線を鮮明にしているが、その手法は民主主義の手続きからは大きく逸脱しており、「国民不在」も甚だしい。

などです。

国民の同情心に乗じて、「増税やむなし」を印象付けてきた政府・財務省ですが、民意は変わりつつあるようです。28日に放映されたテレビ朝日系の「ビートたけしのTVタックル」で「国民無視の財務省政権にダマされるな!! 復興増税に名を借りて…そんなにしたいのか消費増税!?」のテーマで、出演者ほぼ全員が「増税反対」に回り、世論が変わり始めたことを印象付けました。

日本は借金大国ではなく、実は金融資産や対外純資産など世界一の金持ち国家です。何度も言いますが、財政危機を煽るのは、増税をして権益を拡大したい財務省のプロパガンダです。不況下の増税は、不況を深刻化させるのは明白であり、結局は税収減につながります。金融緩和と、未来産業への大規模投資によって、雇用を創出し、消費を拡大することこそが税収増につながるのです。

※1:11月30日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111130-OYT1T00622.htm

※2:幸福実現党【緊急声明】「復興財源確保法の成立を受けて」http://www.hr-party.jp/new/2011/15954.html

11月
30

2011/11/30【ほめるって楽しいですね】

◆SNS活用、ゲリラ集客、限られた予算狙い定め投入――ノマド(進化するMIT)(日経MJ(流通新聞)  2011/11/30)

ノマド 「店にいるよ」仲間招く

顧客との関係を緊密にするのにSNS(交流サイト)が果たす役割は大きい。特に、限られた販促予算で顧客とのコミュニケーションを深めるのに、SNSは有効だ。SNSで生まれるコミュニティーの中からターゲットを絞ってアプローチすればファンを育成する効果は高まる。顧客の心をくすぐるような、SNS時代の顧客関係管理(CRM)の可能性を探る。

「あの人が店にいるなら行ってみよう」。そんな動機で来店する客がいる。誰が店にいるか、リアルタイムで伝える手立てはこれまでなかった。それを可能にしたのが、SNS(交流サイト)のアカウントを活用、場所を登録する「チェックイン」機能だ。消費者はスマホを通じて常に「今店にいる人」を確認できる。

9月に開業した「ジェリージェリーカフェ」(東京・渋谷)。オフィスに縛られず、カフェや貸しスペースを仕事場にする「ノマド(遊牧民)ワーカー」向けの店で、電源を配備、2時間500円、千円で1日利用(午後6時まで)ができる

午後6時以降はバーにもなる同店の大きな特徴は、ホームページ(HP)から在席客を確認できること。トップ画面で「Check In/People Here」をクリックすると、今店にいる人のツイッターアカウントが表示される。

客は入店時、希望すれば、店舗のタブレット端末や自身のパソコンからツイッターアカウントを使いチェックインする。それだけで自動的に自身のツイッター画面にチェックインしたことが記され、店のHP上にもアカウント名が表示される。

チェックインは電子クーポンの役割も果たし、初回と、5回目ごとに、バータイムのドリンクチケットがもらえる。

同店の常連客の約8割はIT産業の従事者でSNSの利用率は高い。来店客の3割程度がチェックインするといい、「あいつ、まだいる?」と訪ねてくる客も目立つ。

運営するピチカートデザイン(東京・渋谷)の白坂翔社長によると、店で知り合った客が互いのツイッターのフォロワーになることも多いという。「来店客同士でも緩やかなつながりができた」(白坂社長)。店と客、という縦糸だけでなく客と客という横糸が客との関係を深めている。

客との関係構築に第三者をかませている例はほかにもある。お好み焼きチェーン「道とん堀」(東京都福生市)にはよしもとクリエイティブ・エージェンシーに所属する若手お笑いタレント数十人が頻繁に訪れ、ツイッター上で、「道とん堀おいしい。連れてきてくれた先輩、ありがとう」などとつぶやく。

無名の若手とはいえ1万~2万のフォロワーを抱え影響力は侮れない。この手法は一見、古典的販促にも映るが、ギャラを払わないところがミソだ。「ギャラを払ってタレントがつぶやいても、今の消費者の共感は得られない」(同社)。自発的に店を訪れたタレントが勝手につぶやき、企画もののにおいはしない。

先輩後輩の結びつきが強いお笑いタレントは連れ立って食事に行くことが多い。そうした中で、道とん堀のファンが増え、「こんなメニューがおいしかった」などつぶやいてくれる。それがフォロワーに届き、店への興味をつなぎ留めるという計算が働いている。

地域の客 密な「会話」常連生む

ネット上で客と緊密なコミュニケーションを取ることで、地域の顧客をリピーターに育成するのがイタリア料理店「ジョルジョ」だ。銀座の雑居ビルの2階にある、32席のこぢんまりした店だ。

客のひとりが注文したのは「牛ホホ肉の赤ワイン煮」。珍しい料理ではない。しかし同店では最近、提供し始めたメニューだ。注文した客は「ブログに載ってた料理」と言い添える。

マルホトラ・アミト店長がブログで「お肌にもいいんです」とスタッフの写真付きで紹介したのはその数日前のこと。ブログをアップしてすぐに「次回、頼みます」「肌が若返りそう」などとコメントが寄せられる。アミト店長は一連のやり取りが常連の「来店につながっている」と顔をほころばせる。

同店が利用するのは、不動産情報サイトのネクストが運営するSNS機能を持った地域情報サイト「ロココム」。パソコンに加え、スマホで位置情報に連動して店舗を探すことができる。

登録店舗は、月額3千円を支払うと、住所や営業日時、メニューなどの基本情報を掲載できるだけでなく、ブログで情報を発信して消費者とコミュニケーションを取ったり、同店をフォローしている顧客に限定メッセージを発信したりできる。

ジョルジョは5月からロココムを利用、すでに50人以上のフォロワーを獲得した。ブログではスタッフが頻繁に登場、「店を知ってもらうためのツール」(アミト店長)として定着しつつある。

同店は今年1月にリニューアル開業した。当初は集客のため、クーポン共同購入サイトや紙媒体のクーポンによる販促を試した。しかし割引で「赤字すれすれなうえ、クーポンありきの人が多く、リピートに結びつかなかった」(同)。

同店はもともと銀座で働く男女の継続的な利用を促す地域密着型の営業を狙っていた。ロココムに登録して後はクーポンを原則廃止、客とのやりとりを密にしてリピーターを獲得する作戦にかじを切った。客とやり取りができるうえ、通常のブログやSNSに比べ店の基本情報も豊富に掲載できるロココムの仕組みが功を奏しているという。

小規模店舗だけに、販促費用は限られる。マス広告はコスト面で厳しく、効果測定も難しい。クーポンはリピートにつながらない。そんな悩みを解消したロココムは「コスト以上のメリットがある」(同)という。

歴史ファン ゲームで観光客誘う

織田信長や徳川家康が拠点とし、NHKで放送した大河ドラマ「江」のヒロインにもゆかりのある清洲城(愛知県清須市)。管理する市が集客に役立て、ファン作りに利用するのが、ケイブが運営するソーシャルゲーム「しろつく」だ。

「しろつく」は、現実世界での位置情報を登録、移動距離に応じて小判を入手し自分の城下町を作っていくゲーム。SNSを通じて遊び、利用者間で交流もできる。

清洲城では「江」の放送に合わせ、11月末までの期間限定で開設した「大河ドラマ館」出口にしろつくのポスターを掲示。QRコードや記載番号を携帯電話に取り込むことで、信長時代の清洲城の外観を「限定アイテム」として入手できるようにした。自分の城を飾ることでゲーム上の出会いのきっかけにできる。

「同じゲームをする友人と話題にもなるし、限定アイテムは魅力。外出の大きな動機になる」。限定アイテムを目当てに友人と大阪から訪れ、QRコードを撮影した女性(32)はこう語る。別の女性(42)も、「ゲーム上での友人獲得のために限定アイテムは欠かせない」と話す。

「歴史ゲームは多数あり愛好者も多いが、歴史の現場を訪れる若者は少ない。こうしたオンライン上の歴史ファンを取り込みたかった」。「大河ドラマ『江』清須市推進協議会」の飯田浩視・事務局長はタイアップについて説明する。

10月入館者数1万5千人のうちゲーム経由は約3分の1と、大きな集客要因となっている。大河ドラマ館の入場料は大人500円。5千人として単純計算すると、増収効果は1カ月で250万円に上り、2カ月強のタイアップのために同協議会がケイブに支払った金額の倍以上だ。

清須市は今後、市の歴史や文化を紹介するサイトを開く予定。今後もケイブと協力、「しろつく」利用者をサイトに誘導する方法を検討する。今回、城を訪問できなかった人にも情報を届け、清洲城を中心にこの地域のファンを増やす考えだ。

潜在顧客集まる「場所」見極めを

「クリック1つで物が買え、映像が視聴できる時代になっても、全行動の頂点にあるのは実体験」(慶応義塾大学SFC研究所の松村太郎・上席所員)という真理は変わらない。その実体験の魅力を伝えるのに、これまで多くの小規模店舗は苦戦を強いられてきた。大規模かつ継続的な広告を出したりキャンペーンを実施する資金はなく、ネット検索で上位に食い込むすべも持たない。

ところがSNSが普及し、SNS上で利用者をつなぐ要素が細分化された結果、小さな個店が小さな集団に働きかけ、販促費やシステム構築費をかけずに顧客とのコミュニケーションの土俵を作れるようになってきた。

清洲城の例で、数ある位置情報ゲームから「しろつく」が選ばれたのは、ゲームユーザーの「城」への関心を見込んでのことだ。潜在顧客が多く集まる“場所”はどこか、その見極めが成功のカギを握る。

いちよし経済研究所の納博司・主席研究員は「立地の不利や知名度の低さをカバーするのがオンライン・トゥ・オフラインだ。資金がなくとも知恵があれば顧客獲得は可能」と指摘する。

ただ、普遍的に当てはまる集客必勝法はない。松村氏は「ITが発達しても原点は同じ。魅力的な情報をこまめに伝えることが大切」と話す。自身の持つ強みを見極め、磨き、顧客へ差し出す。オンラインでもオフラインでも、同様の取り組みが求められる。(松本史)

◆ICタグ、1個10円時代に、本屋・レンタル店などで浸透、万引き防止や書籍検索(日経産業新聞  2011/11/30)

無線経由で様々な情報をやり取りする「ICタグ」の用途が広がってきた。情報量の多さや使い勝手の良さから期待されながら価格の高さが普及を妨げてきたが「1個10円時代」に突入。製造現場や物流に限られていた用途が、小売店やサービス分野に急拡大している。最近は「ユーザー発」の思いがけない用途も生まれつつある。

東京駅に近い大型書店「丸善・丸の内本店」。4階には8万冊の洋書がずらりと並ぶが、表紙をめくると6センチメートル四方の見慣れないタグが付いている。今年5月に試験導入したRFID(無線自動識別)タグだ。

同店では半年に1回、在庫の棚卸し作業を行う。従来、バーコードリーダーで8万冊を読み込むには、約20人の専門業者を雇い夜9時から翌朝8時までかかった。今は数十センチメートル離れた距離から読み取り機をかざすだけで、本のタイトルや入荷時期などを瞬時に読み取り、時間は7人で3~4時間に短縮された。

来店客からの書籍の置き場所を問われてもICタグを使い在庫情報をシステムに蓄積、瞬時に確認でき「サービス向上になる」(同店の近藤正彦洋書グループ長)。

ICタグは2000年代初頭から導入が本格化。商品の型番など従来は手作業で管理していた情報を瞬時に把握する画期的な手段として、国内外で注目されてきた。ただ、タグの価格が1個数十円する時代が数年前まで続き用途は価格を吸収できる分野だけだった。

ところが近年は製造技術の進化と量産効果で価格が徐々に低下。「普及を占うとされた1個10円時代がようやく現実的になってきた」(NECの平野弘一RFID事業推進部長)。

NECは11月上旬、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が東京都渋谷区に開店する新規店舗に国内最大規模となる80万個のICタグを導入すると発表した。書籍やDVD、CDにタグを装着。例えば人気DVDの貸出状況などを逐次把握でき、在庫管理の精度向上や顧客満足度の改善につなげる。

用途は万引き防止や、顧客が自ら精算する「セルフレジ」などに広がる。単価数千円の化粧品など万引き被害に悩まされてきたドラッグストア業界ではICタグ導入が本格化。建設業界では、セメントを流し込んだ時間や温度など、施工データを盛り込んだICタグをコンクリート中に敷設。読み取り機で定期的に状況を把握するシステムとして活用が進む。

丸善の洋書コーナーではICタグの読み取り装置を、宝探しの探知機のように使う。書籍情報を読み取り装置に入力、本がある棚に近づくと、装置が音を発する。「熟練度の低い店員でも即戦力」(丸善の近藤さん)。

ICタグの国内出荷個数は、07年の1億5000万個から、11年に2億個に近づくとみられている。「ユーザー発の用途が生まれつつある」(NECの高安さん)。(小高航、戸田健太郎)

【所感】

◇昨今のSNSを利用した新しいビジネスに関する記事から事例を紹介します。

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あの人が店にいるなら行ってみよう」。そんな動機で来店する客がいる誰が店にいるか、リアルタイムで伝える手立てはこれまでなかった。それを可能にしたのが、SNS(交流サイト)のアカウントを活用、場所を登録する「チェックイン」機能だ。消費者はスマホを通じて常に「今店にいる人」を確認できる。

9月に開業した「ジェリージェリーカフェ」(東京・渋谷)。オフィスに縛られず、カフェや貸しスペースを仕事場にする「ノマド(遊牧民)ワーカー」向けの店で、電源を配備、2時間500円、千円で1日利用(午後6時まで)ができる。

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◇この事例で思い出したのは1980年に出版されたアルビン・トフラーの書籍「第三の波」です。トフラー氏はその書籍の中で、生産消費者(プロシューマー)という概念を紹介しています。無給の仕事を自ら消費することで新たな富が形成されるという概念です。分かり易い例でいうと、セルフ・サービスを前提としたWIKIなどを挙げることができます。30年前にこの大きな波を予言していたわけですから、その慧眼に敬服せざるを得ません。

◇物と情報が一体化されることで洋書のたな卸しの生産性を上げ、顧客へのサービスを向上した事例はコスト低下の威力を実感します。情報技術の分野には、ムーアの法則(2年間で能力が倍増)やメトカーフの法則(ネットワークの価値は接続している人数の二乗に比例)など多くの法則が提唱されています。そして現実に進化のスピードは衰えることはありません。この変化は世界に何をもたらすのでしょうか。

◇インドでSpoken Webと呼ばれる文字が読めない人でも、音声でインターネットにアクセスできる技術が開発されています。この技術を電器通信会社と共同して提供することで、食料品の購入や農家が天気予報の情報を簡単に入手したり、様々な医療サービスを受けたりすることが可能になり。アフリカへの技術供与などが将来ビジョンとして議論されています。私は日本でもネットへのアクセスで不便な思いを抱いている先輩方に早くこの技術が届けられることを願っています。そうです、仕事の創出につながる可能性を感じるからです。

◇インターネットが市場に与える影響を調査する興味深い実験が10年ほど前に行われたことがあります。1つは、悪い売り手がいたら、その売り手の情報を買い手(仲間)が共有し市場から悪い売り手を追い出す。(ひどい中古車をレモンに例えてレモン効果とも呼びます)もう一つは、素晴らしい売り手がいたら、誉める情報を発信して皆で共有する。どちらの市場が成長したか? 実は後者が圧倒的に伸びたのです。誉めるって、やっり嬉しいですよね。

◇情報は圧倒的に増えます、大切なのは廃棄能力です。多くの皆様に少しでも良い情報(しらせ)を選んでいただけるように、微力ですがこれからも頑張って参ります。

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ご挨拶

愛するこの国のために

私は、この日本を、この兵庫県を愛しています。
現在、日本が抱える深刻な経済不況、国防の危機、教育の没落には目に余るものがあります。「この国の繁栄と安全、子供たちの未来を守りたい」その一心で、政治家を志しました。「幸福実現党」には、保守政党としての政策と、未来をつくる「チャレンジ精神」があります。皆様のご支援を心からお願い申し上げます。
高木よしあき

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