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2018/02/15【高まる中国軍の脅威にどう対処するか】

 現代の航空戦は、戦闘機の戦闘能力の他に、情報収集機能やネットワーク機能の優劣が戦況を左右します。

 その中核となるのが早期警戒機(AEW)や早期警戒管制機(AWACS)であり、日米はAEWやAWACSの能力が中国などのそれを上回っているため、戦況を優位に進められると考えられています。

 こうした中、中国が新型の長距離空対空ミサイル(AAM)が実戦配備間近という報道がありました(※)。

 この種のミサイルを開発しているという噂は予てからありましたが、ミサイルの目的は日米のAEWやAWACSを撃墜するためと考えられています。
 

 一般にAEWやAWACSは、敵のミサイル等の射程外の後方に位置して警戒管制にあたり、脅威となる敵があれば、見方の戦闘機を向かわせて迎撃します。

 しかし、AEWやAWACSは、いくら後方に位置しているとはいえ、自らが強力なレーダー波を発射しているため、敵からは比較的容易に位置を把握されてしまいます。

 その上で、敵がステルス戦闘機に長距離AAMを搭載すれば、見方の戦闘機が迎撃する前に、発射位置にまで接近されてしまう可能性が高くなります。
 

 中国は、この長距離AAMに加えて、新型のステルス戦闘機の実戦配備を開始したとの報道もあります。
 

 
 ですから、ステルス機に対する探知能力の向上や、電子妨害などAEWやAWACSの自己防御機能の向上などを図らなければ、日米の優位性が揺らぐ懸念があります。
 

 特に、中国軍の動きが活発な尖閣諸島周辺の警戒管制では、航空自衛隊のAEWやAWACSの果たしている役割はたいへん大きいと見られていますが、能力向上が著しい中国軍に対処するためには、従来のシステムの延長では厳しいのが現状であると理解する必要があります。

 防衛費の増額など、安倍政権の姿勢は評価できるものの、中国軍の脅威の増大に対してはまだまだ不十分と言わざるを得ません。

 私たちの平和な暮らしを守るために、国防債の発行など、防衛費の大幅な増額に向けて抜本的な見直しが必要ではないでしょうか。

※:2月14日付産経新聞ニュースhttp://www.sankei.com/world/news/180214/wor1802140049-n1.html