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2012/02/19【枝野氏による東電の国有化は“国家社会主義”への道】

2月13日、枝野経済産業相は、東京電力の西沢社長と会談し、東京電力を実質的に国有化したい意向を伝えました。

枝野氏は、「今回の事故の責任は一義的には東電にある」、「まず東電のリストラを徹底し、負債にあてる原資を最大限にひねり出す必要がある」、「株式の価値はゼロにする」、「金融機関にも一定の債権放棄を求める」といった考えのもと国有化を迫っているようです。

しかし、これはまさに「国家社会主義」のやり方です。原子力損害賠償法には、事業者は「異常に巨大な天災地変による原子力損害」については免責される、と明記されているにもかかわらず、この免責条項について政府から何の説明もなされていません。そもそも、福島原発事故の一義的な責任は、国策で原発を押し進めてきた政府にあります。こうした議論を経ることなく、欺瞞に近い論法で東京電力の国有化を進め、政府機能の肥大化を目論むことは許せません。

同じく13日に、枝野氏の国有化の意向を受けて、経団連の米倉弘昌会長が記者会見で、「国有化というのはとんでもない勘違いをしている」、「国有化してきちんとした経営を行った企業は見たことがない」と発言しました(※)が、まさにその通りです。「国家が民間よりうまく企業経営をすることができる」との考えがまかり通るのであれば、それが社会主義なのです。

例を挙げるまでもなく、民間企業に比べて国有企業に収益感覚がないことは明らかです。東京電力が国有化されれば、原発の代わりに高コストの代替エネルギーに頼り、更なる税金の投入と、電気料金の値上げが予想されます。そもそも、国有企業による電力料金の値上げは増税といえます。このように一段と国民の負担が増えるのです。

東京電力に責任が全くないとは思いませんが、枝野氏は、正義の仮面をかぶって東京電力を悪者に仕立て上げ、国民や被災者の目をそちらに引きつけて、なりふりかまわず国有化しようとしています。こうした、日本を国家社会主義へ導こうとする目論見は阻止しなければなりません。

※:2月14日読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120213-OYT1T00945.htm