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2011/07/30 【ありえへん!「取りやすいところから取る」という増税ラッシュ議論】

【日本経済失速の恐れ10兆円増税、家計圧迫消費の足を引っ張り】2011年7月29日 産経より

東日本大震災の復興財源の確保に必要な10兆円規模の臨時増税が実施されれば、デフレ不況が続き、震災でダメージを受けた日本経済は失速する恐れがある。

「増税による家計圧迫に伴う心理面の冷え込みが、最も心配だ」と指摘するのは、カブドットコム証券投資情報室の河合達憲チーフストラテジスト。

期間が10年間で年1兆円規模の増税の場合、国内総生産(GDP)は0.2~0.3%押し下げられると試算。

さらに「消費意欲の減退で、外食や家電などは、増税分よりも大きく落ち込む。倹約による景気後退は避けられない」と強調する。

第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは、「10年間での累積のGDP押し下げは1兆5千億円を超える」と指摘。

「デフレ下での所得増税は悪影響が大きく、景気動向を見極めることが必要だ」と、デフレ脱却の優先を求める。

増税は、震災の復興需要も帳消しにしかねない。インフラ復旧などの公共事業が景気を押し上げても、いずれ復興予算は急減し、大きな反動減に見舞われる。

その段階でも増税が続いていれば、国内総生産の6割を占める消費の足を引っ張り、景気が一気に失速しかねない。

日本総研の湯元健治理事も、「そうしたリスクを回避するには、成長シナリオを示すことが不可欠だ」と警告する。

市場では、デフレ脱却策や成長戦略を示さず、増税を優先する菅政権への危機感が強まっている。

【復興増税、年収700万円で1.6万円サラリーマン世帯に重い負担】2011年7月29日 産経より

政府は、東日本大震災からの復興基本方針の決定を経て、財源確保のための増税項目の検討に入る構えだ。

具体的には、所得税と法人税の税額を一律で10%上乗せする定率増税が有力視されている。

ただ、定率増税は、高所得者ほど負担が大きくなるうえ、納税していない低所得者や赤字企業は負担がゼロで、不公平感が強い。

B型肝炎訴訟の和解金支払いでもたばこ、酒税の増税が検討されており、課税を逃れられないサラリーマン世帯の負担は重い。

「(借金の返済を)後の世代に先送りするのは、世代間の(公平性の)問題からも、日本の財政規律に対する信認の問題からも好ましくない」

与謝野馨経済財政担当相は29日の会見で、復興増税への理解を訴えた。

政府は復興債で調達する10兆円程度を5~10年間の定率増税を中心に償還する方向で、増税規模は年1兆~2兆円になる。

所得税を定率で10%増税した場合、年約1兆3千億円の増収が見込める。

夫婦と子供2人の標準世帯では、年収700万円の場合、負担増は約1万6千円、年収1千万円なら約6万円の負担増となる。

高所得者ほど負担は大きくなり、課税最低限を下回る年収325万円以下の人は、負担増もない。

個人事業者などと違い、給与所得をすべて把握され、節税余地のないサラリーマンには過酷な増税だ。

法人税の10%増税では、年8千億円の増収となる見通し。課税対象は黒字法人に限られ、納税額の多い優良企業や成長企業ほど負担が膨らむ。

国内産業の競争力強化のため法人税を引き下げる従来の政府方針にも逆行。過度な税負担で海外シフトが加速する可能性があり、雇用も失われる。

一方で、所得税と法人税の増税の場合、被災者や被災企業を除外できるというメリットがある。1%の税率引き上げで、2.5兆円規模の税収が見込める消費税の場合、被災者にも負担増を強いる。

それでも、「復興を広く薄く国民全体で支えるには消費税の方が適している」(エコノミスト)との声は多い。

経済界も、「所得税と法人税は負担が偏る」として、消費税の増税を充てるよう求める声が多い。

政府も当初は、国民に理解を得やすい復興を名目に消費税率を引き上げ、その後、引き上げ幅を拡大し、社会保障や財政再建の財源に転用するシナリオを描いていた。

だが、与野党から「震災にまぎれた火事場泥棒」との批判が噴出し断念した。

復興財源をめぐる政府の議論は、「増税ありき」で進んできた。しかも、たばこや酒も含め、「取りやすいところから取る」という増税ラッシュへと突き進もうとしている。

引用、以上。