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2018/12/20【日本の防衛費を考える】

 政府はステルス戦闘機「F-35」を追加で105機調達し、既に導入を決めている42機と合わせて147機体制とする方針を閣議了承しました。
 

 これで、F-35が日本の次期主力戦闘機となることになりました。

 
 F-35を巡っては、開発費用の高騰、中国への機密情報の流出などの懸念がありますが、日本国内でもこの他にいくつかの懸念材料があります。
 

 例えば、要撃任務を担う「F-15」の一部を攻撃機的要素の強いF-35が取って代わることになりますが、F-35にはF-15に無い様々な能力があるものの、空対空の任務でF-35がF-15に劣る部分は本当にないのかといった疑問があります。

 また、政府は、短距離離陸が可能なF-35Bの導入意義を、多目的護衛艦への搭載の他に、離島など距離の短い滑走路から運用できることをあげていますが、現実には、F-35Bを短距離離陸で運用するのに必要な耐熱性の高いコンクリート舗装の滑走路が離島を含む地方空港には無いということです。

 さらに問題なのは、F-35の調達を、来年度以降、国内での最終組み立てを取りやめて、米国からの完成品の輸入に切り替えるということですが、これは国内の航空機産業の保護という観点ではマイナスです。

 完成品の輸入で1機当たり30億円程度の経費削減が可能との試算があるからですが、国内での戦闘機製造能力の維持のために、「F-2」戦闘機の後継機開発を前倒しする必要性がますます高まっているのではないでしょうか。
 

 いずれにせよF-35に代わる機体が事実上無い訳ですから、それぞれの懸念を払拭する手立てを講じていく必要があります。

 政府は、今後5年間の防衛費を過去最大とする方針を示していますが、中国の軍拡のペースや、米国のアジアにおける将来のプレゼンスの流動性を考慮すれば、数%増やしたところで日本の防衛費はまだまだ不十分と言わざるを得ません。

 ですから、日本の防衛費を、他の先進国並みとする方策を検討すべきではないでしょうか。