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2018/06/12【原発必要性の説明はもっと国が前面に】

 原発再稼動の是非が争点の1つとして注目された新潟県知事選挙が行われ、与党が支援した候補者が、野党5党が推す候補者を僅差で破り当選しました。
 

 与野党が激突した今回の選挙戦では、当初は与党系候補者が再稼動を容認、野党系候補者は再稼動に反対という位置付けと見られていました。
 

 その後、与党系候補者が再稼動に慎重な姿勢を強め、両候補者で原発に対する姿勢に大きな違いが見られないようになりました。

 結局、与党側が争点ぼかしに成功した形で、原発に対する姿勢以外に柱となる政策の無い野党系候補者を破り当選しました。
 

 原発の再稼動をはっきりと容認する立場の候補者がいなかった点で、新潟県民の民意を正確に判断することはできませんが、選挙結果からは、再稼動に慎重な意見が多いことが読み取れます。

 中でも、原発が立地する地元柏崎市の投票結果は、前回の知事選では再稼動容認候補者の得票が上回っていたにもかかわらず、今回は、野党系候補者の得票が上回りました。

 この結果を受けて、地元柏崎市でも原発の再稼動に反対の民意が示されたとの意見があります。
 

 しかし、今回の野党系候補者は、地元柏崎市出身の元県議ということもあり、地元縁者の支援も多く必ずしも再稼動に反対の得票が集まったとは言えません。

 実際、同じ原発立地の地元である刈羽村の得票は与党系候補者が上回っていることからもそれが分かります。

 地元には、主に経済振興の観点から再稼動を求めることが根強くあるのです。
 

 そもそも、国のエネルギー安全保障に関わる問題は、地方自治体の一存で左右できる問題ではないのですから、首長選挙の争点とすること自体に違和感があります。

 特に、東京電力の原発の電力は首都圏に送電されるため、雇用の創出以外に地元が恩恵を感じにくいのも事実ですから、国は、原発再稼動の必要性の訴えを東電に任せにするのではなく、もっと積極的に地元に発信すべきと考えます。