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2017/11/13【日中関係改善の思惑の裏で】

 APECが行われたベトナムで日中首脳会談が行われました。

 日中の首脳は、北朝鮮問題については非核化に向けて、日中関係については改善に向けて、それぞれ努力することで一致したとされます。
これに対し日本では好意的な報道が目立ちます。

 しかし、習近平主席は先の共産党大会で軍拡を念頭に強国建設を宣言し、尖閣諸島では中国船による領海侵犯が常態化しています。
そうした中での“関係改善”は、安倍首相が一方的に中国に絡め取られている印象がぬぐえません。

 中国の立場で北朝鮮問題を考えてみると、「言うことを聞かない北朝鮮が核を持つことには反対するが、言うことを聞く北朝鮮が核を持つことは、日米に対する牽制に使えるので必ずしも反対しない」という思惑があってもおかしくはありません。

 何よりも北朝鮮が崩壊し、民主化することを最も恐れているのは中国のはずです。
ですから、日中が北朝鮮の非核化で一致しているように見えても、両者の思惑は違います。

 また、習主席は、先に訪中した米トランプ大統領との会談の中で、太平洋を二分して片方を中国が管轄するかのような発言をして、海洋進出の手を弛めないことに改めて言及しています。

 太平洋の西半分を中国が管轄するということは、日本が中国の属国になることを意味するものであり、中国は中長期的に東アジアから米軍を撤退させる未来を描いていると言えます。

 このように中国は、共産党の一党独裁を止めて民主化する意思はありませんし、覇権拡大を断念する意思もありません。

 日本は中国に過剰な期待を抱いてはなりません。
ですから必要以上に中国に組することは、自由主義、民主主義の正義に反する結果につながると考えます。