2月
20

2017/02/20【日本政府の交渉力が試される】

 トランプ大統領は、最新鋭のステルス戦闘機「F-35」の調達価格を製造メーカーに下げさせたことに関し、安倍首相から謝意があったことを明らかにしました。
具体的に調達価格が下げられるのは、日本が導入を決めた42機のうち4機分で、トランプ大統領によると1機当たり「何百万ドル」の削減とのことです。

 一部の報道機関は自衛隊のF-35を「次期“主力”戦闘機」としていますが、現在、自衛隊は300機以上の戦闘機を保有しているものの、調達が決定しているF-35は老朽化した「F-4」戦闘機の代替えとなる42機分のみです。
約200機保有する現在の主力戦闘機「F-15」は、その内の半数をF-35に置き換えるとの話もあるようですが、実際には、F-15の後継機は決定していません。

 今回のトランプ大統領の発言や安倍首相の言動からは、「日本は今後も米国からF-35を購入しますよ」と言っているようにも聞こえます。
確かに、最強とされるステルス戦闘機「F-22」を調達する道が事実上閉ざされた上に、実験機「X-2」の延長上にある日本製の将来戦闘機の開発にも時間が掛かると見られているので、F-35の増備は現実的な選択肢かもしれません。

 しかし、本当に制空戦闘機であるF-15の後継として攻撃機としての色彩の強いマルチロール機であるF-35が相応しいのか、あるいは、F-35の導入が日本の防衛産業の育成に繋がるのか、などの観点から次期主力戦闘機の調達を慎重に判断する必要があります。

 トランプ大統領は、間違いなく自国の製品を買うように働きかけてくるはずです。
米国の製品を購入することが日本の国益に繋がるのであれば、それも構いませんが、今後は、日本政府の交渉能力が試される機会が今まで以上に増えるのではないでしょうか。