台湾の立法院は、いわゆる脱原発法を可決しました。
これは、2025年までに現在稼働中の3つの原発を廃止するもので、蔡英文総統の選挙公約でもありました。
これにより台湾は、再生可能エネルギーの促進を図るものとみられますが、他国のこととは言え、実現すればエネルギー安全保障上、重大な懸念が生じることになります。
台湾のエネルギー自給率に占める原子力の割合は2割弱で、原発の設備容量は500万キロワットに達しません(※)。
この程度であれば、再生可能エネルギー発電の増設で、十分賄えるとの思惑があるのかもしれません。
しかし、海外からの輸入に依存する火力発電の割合が過半数を占める状況に変わりがなければ、台湾有事の際、海上封鎖をされれば、エネルギーを確保することが困難となります。
皮肉にも脱原発法が可決された同じ日、中国軍の空母が台湾を一周する形で、示威航海を行いました。
海軍力を急速に強化している中国は、台湾の脱原発により、労せずして兵糧攻めを行えるようになるのです。
また、再生可能エネルギーの柱の一つになるであろう太陽光発電は、空爆に対して極めて脆弱なインフラです。
ですから、安全保障の観点からは、台湾は脱原発を進めるべきでないことが明白です。
※:海外電力調査会https://www.jepic.or.jp/data/asian08.html