南シナ海の公海上で海中の調査を行っていた米軍の無人潜水機が、中国軍によって奪われました。
中国は、「正体不明の装置を発見し、航行の安全のために調べた」などとしらを切っています(※)が、米国に対する牽制とともに、米軍の情報収集能力がどの程度か探る狙いもありそうです。
米国は奪われた潜水機に機密情報はないとしていますが、まさか民生用の機器と同等であろうはずもない上に、返還交渉を余儀なくされるため、米国にとっては打撃になることは間違いありません。
最近の主な出来事を振り返って見ると、1999年のコソボ紛争で当時の米軍最新のステルス攻撃機「F-117」が撃墜され機体の残骸が中国に渡ったとされていますし、2001年には南シナ海の公海上空で米軍の電子偵察機「EP-3」が中国軍戦闘機と空中衝突し中国領内に緊急着陸した際に機体の機密情報が中国に渡りました。
また、2011年には米軍のステルス無人偵察機がイラン領内で墜落してイラン当局が確保し、その技術情報が中国側に渡ったとの指摘もあります。
この他、中国はサイバー攻撃により、最新のステルス戦闘機「F-35」などの機密情報を盗んだ疑いが持たれています。
中国はなりふり構わず軍事情報の収集は図っており、これが安全保障の最前線の現実でもあります。
最近の中国軍の急速な能力向上には、ある意味で米軍自らが寄与していると言われても仕方のない状況ですが、日本は、中国軍の急速な能力向上に対して、適切に対処しなければなりません。
※:12月17日NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20161217/k10010810721000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_005