英国のエリザベス女王が、中国の習近平主席の訪英を「とても失礼だった」と思わず述べた様子が報じられました(※)。
昨年、10月に中国の習近平主席が訪英した際、英王室は破格の国賓待遇で厚遇しました。
チベットやウイグルなどで現在も過酷な弾圧を続け、天安門事件をもみ消し、更には東シナ海や南シナ海で覇権的な軍事拡大を続けている中国首脳の訪問を、自由と民主主義の価値観を尊重する国が、手放しで最大級の歓迎で迎えることは通常の感覚では考えられませんでした。
にもかかわらず、国賓待遇で対応した英国王室は、たいへんな苦労を強いられていたようです。
ではなぜイギリス政府は異例の厚遇で迎えたかというと、経済が必ずしも順調ではない中で、はっきり言って中国マネーを当てにしたのです。
事実、先の習主席の訪英で中国とイギリスは、4兆円以上とも言われる大型の契約を成立させました。
イギリスのキャメロン首相は、当時、経済以外の問題を蔑ろにしたわけではないと釈明しましたが、その後、イギリスが中国に対して、人権や自由の尊重で強い圧力を掛けた様子はありません。
英国王室は、中国マネーを取り込むために政府により利用された格好です。
正義を捨て経済を優先させるような行為に、大英帝国の威光は感じられません。
世界は、中国の尊大な外交を見せつけられました。
こうした中国の外交姿勢は今後も変わらないと思われます。
政権交代が決まった台湾やフィリピンに対しても、中国は経済支援をチラつかせて自身に都合の良い立場を受け入れるよう迫ることが予想されます。
目先の利益を優先し、大切な価値観を蔑ろにしたら、世界の未来がどうなるかよく考える必要があります。
※:5月11日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/160511/wor1605110031-n1.html