中国は、ベトナムと領有権を争っている南シナ海の西沙諸島の島に、対空ミサイル部隊を展開させ、国際社会から非難を受けています。先に中国の習近平主席は、南シナ海で中国が実効支配している島にいて軍事化しないと明言していたにもかかわらず、明らかに軍事化を進める動きです。
これに対し中国の王毅外相は、自衛権の行使であり軍事化ではないと釈明しています。
しかし、今回配備された対空ミサイルは、昨年の北京での軍事パレードにも参加したHQ-9と見られ、最大射程距離が100kmから200kmにも及ぶとの分析があります。
国際法上の領海は12海里(約22km)ですから、今回のミサイルの配備は、自衛というよりは、要撃機が無くても周辺の空域をある程度コントロールできるものであり、南シナ海でも防空識別圏を設定する布石ともとれます。
また、今回の対空ミサイル部隊の展開は、わざわざ外国の偵察衛星などに容易に察知される砂浜で行っており、軍事力を誇示する狙いも見えます。
更に、中国が南シナ海で対艦ミサイルを配備する可能性があるとの報道があります(※)。
対艦ミサイルの具体的な種別は分かりませんが、中国が保有する各種対艦ミサイルの射程距離は100km前後と考えられているため、もしも実際に配備されているのであれば、これも自衛の範囲を超えて、付近を航行する船舶の脅威となります。
このように中国は、南シナ海で実効支配している島や岩礁を着々と軍事化しています。
これはどういうことかというと、「日本のシーレーンをいつでも封鎖できるぞ」という意思の現れでもあります。
ですから日本は、米国やASEAN諸国と連携して南シナ海の軍事化を阻止しなければなりませんし、火力発電に過度に依存する現在の状況を改めて、安全が確認された原発の再稼動を速やかに進める必要があります。
※:2月19日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/20160219-OYT1T50088.html?from=y10