中国が防空識別圏を設定しましたが、日本も防空識別圏の拡大を検討しているとの報道がありました(※1)。
日本の防空識別圏は、実は、日本の領土全てを覆っている訳ではありません。
東京都の小笠原諸島などは、他国の航空機による領空侵犯の可能性が低いことなどから、それらの空域では防空識別圏が設定されていなかったのです。
近年、南鳥島や沖ノ鳥島周辺の日本の排他的経済水域内で、中国の海洋調査船の活動が活発になっていますし、最近では、西太平洋上にまで中国海軍の艦隊が侵出し演習を行うようになりました。
更に、中国海軍の空母の就役で、中国本土から遠い空域での中国軍機の活動が懸念されるようになってきました。
こうした状況を受けて、日本の防空識別圏の拡大は当然の措置とも言えますが、同じく、防空識別圏の拡大を検討している韓国に対し、同盟国である米国が反対しているとの報道があります(※2)。
反対の理由は、中国の防空識別圏設定を一方的な現状変更だと批判しているため、韓国の防空識別圏拡大を認めれば、大義名分がなくなるからとのことです。
これが事実だとすれば、日本の防空識別圏の拡大も困難だと言えます。
しかし、中国軍の活動は、日本の南西諸島だけに留まらず、小笠原諸島周辺でも脅威となりつつあります。
防空識別圏の設定が無理であったとしても、これらの空域での警戒監視体制を整えておく必要があります。
小笠原諸島周辺で、領空侵犯に対するアラート任務に就ける可能性がある基地は硫黄島にしかありませんが、硫黄島だけで南鳥島や沖ノ鳥島を含む広い空域をカバーすることは困難です。
やはり、日本も固定翼機を運用できる空母の導入を検討すべきではないでしょうか。
※1:11月27日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131126-OYT1T01618.htm
※2:12月2日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/131202/kor13120201030000-n1.htm