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2011/07/26 【南シナ海の脅威、何が起こっているのか】

昨日、ブログでも書きました「南シナ海」の脅威につきまして、興味深い記事がありますので、ご紹介致します。

【南シナ海の混乱は何を意味するか】2011年7月22日 フォーリン・アフェアーズリポート2011年6月号より

「南シナ海での中国の行動は、この国が今後影響力を高めていくにつれて、国際的にどのような行動をみせるのかを占う水晶玉のようなものだ。残念なことに、これまでのところ、好ましくない未来が映し出されている」(J・クランジック)

――豊かな石油資源が眠っていると考えられる、南シナ海の領有権をめぐって中国と近隣諸国の対立がエスカレートしつつあるが、現状をめぐる重要なポイントはどこにあるのか。

各国が南シナ海の領有権をめぐって異なる解釈をし、衝突している。これ自体重要な展開だが、中国にとって一連の行動は「自国が大国であることをみせつけるための第1ステップ」としての意味合いもある。

南シナ海での中国の行動は、この国が今後影響力を高めていくにつれて、国際的にどのような行動をみせるのかを占う水晶玉のようなものだ。残念なことに、これまでのところ、好ましくない未来が映し出されている。

――南シナ海問題の基本について説明して欲しい。

南シナ海の島嶼をめぐって少なくとも5カ国がそれぞれに領有権を主張している。中国、台湾、マレーシア、ブルネイ、そしてフィリピンだ。こうした領有権の主張はかなり古くからのものだ。

中国は実質的に南シナ海の全域に領有権を主張している。一方で、他の諸国はこうした中国の広範な領有権の主張に強く反発している。

近年、この海域では資源探索が行われ、かなりの規模の原油資源が埋蔵されている可能性があると考えられている。

つまり、この海域が戦略的に重要なだけでなく、かなり資源が存在していると考えられていることが対立を引き起こしている。

さらに、近隣諸国のすべては、中国の軍事力の強大化を懸念している。

――アメリカはどのような立場をとっているのか

クリントン国務長官は2010年に、重要なシーレーンが位置する南シナ海の国際航路の開放性を維持すべきだし、各国の領有権の主張は多国間で交渉し、合意をまとめるべきだ、と表明し、中国の一方的な主張を牽制した。

さらに、クリントン長官は、開放的な国際航路を維持し、領有権論争が仲介によって平和的に解決されるようにすることをアメリカの利益だと明言した。これが、アメリカの問題への関与を望んでいない中国を苛立たせた。

――最近、ベトナム海軍は軍事演習を実施したが、その意図は何だろうか。

ベトナムもフィリピンも、中国の圧力には屈しない、怖じ気づいてはいないことをアピールしたいと考えている。

東南アジア諸国はこの数年間でかなりの軍備増強を行ってきたが、これは中国との軍事バランスを維持することが目的だ。

ベトナムはアメリカとの軍事関係の強化を模索しており、これも、中国の軍事力増強に対抗していく意図がある。

――なぜ中国は南シナ海の領有権にこだわっているのか。

可能性としてなら、数多くのことが言えるが、中国の意図ははっきりしない。もちろん、自国の軍事能力への自信を深めつつあるのは事実だろう。

国際社会での中国の影響力は、経済危機によって欧米や日本のパワーが衰退していることもあって、相対的に大きくなっている。

一方で、東南アジア諸国、特に、フィリピンは弱点を抱えていることを中国は理解している。

さらに、南シナ海における資源開発の可能性も視野に入れている。

中国指導層が対外強硬路線を支持しているようだし、人民解放軍、特に中国海軍が政策決定への影響力を高めつつあることも、南シナ海における中国の強硬姿勢と無関係ではないだろう。

――近海にはアメリカの第7艦隊がいるのでは。

南シナ海に艦隊が常にいるわけではないが、この海域をパトロールしている、米軍はこの海域に留まると表明し、中国はこれを嫌がっている。

中国はより洗練された艦隊を整備しようとしている。空母を建造し、南東沿海地域に大規模な潜水艦基地も作っている。

一方アメリカは、フィリピンを含む、この地域の数多くの諸国と同盟条約を結んでおり、台湾防衛への責任も負っている。ベトナムとも緊密な関係にある。

――ASEANは領有権問題にどのような立場をとっているのか。

ベトナム、マレーシア、フィリピン、ブルネイはすべてASEAN加盟国であり、ASEANの戦略は、中国に一国ごとに切り崩されないように、重要な問題をめぐって一定の連帯を組織することにある。

連帯して中国の主張を押し返し、一方で、アメリカが問題解決に向けて役割を果たすことを歓迎している。ASEANは決して強い組織ではないが、一般的に加盟国の立場を擁護する傾向がある。

引用、以上。