【米比海軍の合同演習始まる=南シナ海めぐり中国刺激も】2011年6月28日 時事より
フィリピン海軍と米海軍の合同軍事演習が28日、フィリピン南西沖のスルー海で始まった。
演習海域に近い南シナ海では、フィリピンなどと中国の間で南沙(英語名スプラトリー)諸島の領有権をめぐり緊張が高まっている。
米国はフィリピンへの防衛支援を明確にしており、演習は中国を刺激しそうだ。
演習は米海軍からイージス艦2隻と救難艦1隻が参加し、7月8日まで実施される。
演習海域はフィリピン南西部のパラワン島沖で、同島を隔てて北西側に南シナ海が広がる。
両国海軍の演習は毎年実施。フィリピン側は今回の演習について「南シナ海問題とは関係がない」としている。
しかしアキノ大統領は今月14日、南シナ海で中国を抑えるためには、米国の支援が必要との見解を表明。
また、クリントン米国務長官も23日、フィリピンのデルロサリオ外相との会談後、防衛支援と軍の近代化に必要な武器を供与する意向を示した。
引用、以上。
アジア地域への関与を強めているアメリカは、ベトナムとフィリピンに対して具体的な支援に入りました。
米軍との共同訓練や兵器の供与は、発展途上国がアメリカと共同で作戦を行うためには最低限必要なことです。
その国の軍隊と米軍との相互運用性(インターオペラビリティ)を確保し、円滑に作戦を進めるためです。
アメリカとフィリピンは、昔から深い関係にあると共に「米比相互防衛条約」を結び、「米比同盟」と言っても過言ではないほど深い関係にあります。
しかし、アメリカはフィリピンにおける拠点であるスービック海軍基地とクラーク空軍基地を「基地反対運動」で追い出されたため、以前のように軍事力をフィリピンに駐留させることはできません。
そのため、フィリピン軍をアメリカ軍と共同で作戦できるように強化して、中国の進出に対抗する政策をとったものと見られます。
フィリピンやベトナムの問題など東南アジアに関与するアメリカの目的は、兵站拠点のあるシンガポールと「海の難所」と言われるマラッカ・シンガポール海峡の防衛です。
本来であれば、ASEANを強化してアメリカと協調させる政策が良いのですが、ASEANはNATOのような軍事同盟としての性格が無く、ASEAN自体も地域連合として成熟し切っていないため、アメリカが積極的に関与して、ASEANを有効に活動させる潤滑剤の役割を果たそうとしているものと見られます。
アメリカがしていることは、本来であれば、覇権を拡大する中国に対峙する「アジアのリーダー国家」である日本が主体となってすべきことです。
東アジアの大国としての日本のプレゼンスは、日本が持っているパワーに比して甚だ小さいと言わざるを得ません。
日本のパワーに相応しい国際社会への関与政策が求められていますが、政争に明け暮れる無能な日本の政治家達は全く関心を持っておりません。