【金正恩氏の指導力、政策失敗で傷か、韓国情報機関が報告】2011年6月23日 朝日より
韓国の情報機関、国家情報院の元世勲(ウォン・セフン)院長は22日、北朝鮮で政策の失敗などから金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男、金正恩(キム・ジョンウン)氏の指導力に傷がつく事態になっているとの見方を示した。非公開の国会情報委員会で報告した。
住民の不満を警戒し、取り締まりを強化しているという。
同委所属の国会議員によると、元院長は、金正恩氏が軍や公安機関を掌握し、経済部門や対南関係にも関与しつつあるとの見方を示した。高官の子弟や40~50代の中堅幹部も多数起用しているという。
一方、北朝鮮は「強盛大国の大門を開く」と国民に約束した来年に向け、平壌に住宅10万戸の新築事業を進めてきたが、完成したのは500戸余り。
こうした政策の失敗に危機感を抱いているとした。
特別機動隊を創設し、今年初めからデモを鎮圧する装備を購入しつつあるという。
そのうえで、元院長は、北朝鮮が今後、航空や金融など韓国の重要施設を狙ったサイバーテロを起こすとの見通しを示した。
[参考記事]
【金正恩氏「見くびるな」 中国公安相が報告書】2011年6月21日 産経より
21日付の韓国紙、中央日報は2月に訪朝した中国の孟建柱公安相が、北朝鮮の金正日総書記の後継者、金正恩氏について「(権力継承が)揺らぐことはない。年齢が若いからといって見くびってはいけない」との報告書を作成していたと報じた。韓国政府消息筋の話として伝えた。
報告書が書かれた具体的な時期については触れていないが、中国政府の高官レベルで回覧されたという。
この中で孟氏は、北朝鮮の権力機関が「金正恩氏を中心に改編中」とし、とりわけ軍部に関しては、金総書記を背景にした正恩氏の人事権の行使などから「相当な権力を掌握していると分析される」とした。
孟氏は訪朝の際、金総書記と会談。歓迎宴には正恩氏も同席した。
引用、以上。
北朝鮮の次期指導者である金正恩の評価について、韓国と中国では意見が真っ二つに分かれています。
「無能」であるとする韓国も、「有能」であるとしている中国も共通する視点として、この金正恩分析には「自国の願望」が含まれているという点が挙げられます。
つまり、韓国は金正恩が「無能」であれば、自国の安全確保の意味からも非常に好都合です。
一方、北朝鮮の尻拭いをしている中国は金正恩が「有能」であれば面倒な尻拭いをする手間が省けるというわけです。
とにかく分かっていることは、北朝鮮の今後の運命は金正恩の政治的・軍事的手腕にかかっているということです。
核ミサイル問題等も含めて、今後の北東アジアの運命は彼の一挙手一投足にかかっていると言えます。
北朝鮮が「強盛大国の門を開く」と公言する2012年から、北朝鮮の指導体制は金正日と金正恩の共同政権と見られていますが、日本は2012年問題に向けて即刻、備えを開始しなければ手遅れの事態に陥ります。