【中国でまた日本人に猶予付き死刑判決―麻薬密輸罪で】2011年5月31日 産経より
中国遼寧省大連市の中級人民法院(地裁)が5月上旬、麻薬密輸罪に問われた70歳代の日本人の男に対し、執行猶予2年が付いた死刑判決を言い渡していたことが31日、明らかになった。男は上訴したという。
日本外交筋によると、男は2009年7月下旬、大連空港の手荷物検査で、覚醒剤約1.5キロを所持しているところを発見され、拘束された。
昨年12月にも、70歳代の別の日本人の男が、麻薬密輸罪で執行猶予付きの死刑判決を言い渡されたばかりだった。
中国では死刑に執行猶予が付くことがある。猶予期間中の服役態度などに問題がなければ、無期懲役などに減刑される可能性もある。
引用、以上。
2010年4月、中国当局は麻薬密輸罪で日本人4人に死刑を執行しました。
中国で日本人に対して死刑が執行されたのは、1972年の日中国交正常化以降初めてのことであり、外務省によると、薬物犯罪を巡って日本国外で日本人に死刑が執行されたのも初めてのことでした。
この件について、当時、日本国内から「薬物犯罪など人の死を伴わない犯罪で死刑は厳しすぎる」「同死刑囚は公正な裁判を受ける権利をも保護されていなかった」といった強い反発が出ましたが、中国政府は日本国内の意見を無視するかのように、4人の日本人の死刑を執行しました。
それにもかかわらず、日本政府の反応は極めて鈍く、「国民の命を守りたい」と演説したばかりの鳩山前首相は、死刑執行前に「刑罰が厳しすぎるという思いはある。ただ、いかんともしがたいというところもある」と語り、執行後は「日中関係に亀裂を生じさせないよう政府として努力していく」と、国民が殺された国の首相とは思えないような発言をしていました。
昨年4月、中国当局が麻薬密輸罪で日本人4人を死刑にした事件について、トヨタ叩きの直後に、日本人をこの時期に四人も死刑にしようとしている。これは、何を狙っているのか。中国の本心は、どこにあるのか。何のためにそれをやっているのか。
アメリカはアメリカの国内法を国際法として、世界に通用させています。例えば、サダム・フセインを死刑にしましたけれども、ほとんど、国内法も国際法も変わりません。
中国もそうするつもりであるらしいことは明らかです。全世界に中華思想を出すつもりでいるらしいということは分かります。日本人でも処刑できるんだったら、ましてや、もっと弱い他のアジア諸国などは、中国法で今後、いくらでも裁かれることになります。
今後、中国の覇権主義が広まれば、中国の国内法で処分されるようになることを意味しています。こういう狼煙を上げていると見なければならない。日本に対して威嚇をしていることを意味していると思います。
まさにその5ヶ月後には、尖閣諸島中国漁船衝突事が発生し、日本領海内で、日本の国内法で中国漁船の船長を処分しようとしたことに中国は猛烈な圧力をかけて来ました。
弱腰の日本政府は、尖閣諸島沖の日本領海内で中国人船長が起こした衝突事件については不起訴処分(起訴猶予)として、日本の法律を適用しませんでした。これは、中国人に対して日本の国内法が及ばなかったこと、中国人の治外法権を意味します。
一方で、日本人が中国国内で起こした事件については、中国の国内法に基づいて死刑を受け入れることを「やむなし」とする中国に対する卑屈な日本政府では、この国を守り抜くことなどできません。