12月
15

2018/12/15【‟防衛型”空母とは?】

 ヘリコプター搭載護衛艦「いずも」型の空母転用を巡って、日本は専守防衛の観点からいわゆる「攻撃型空母」の保有はできないという考え方があります。
 

 政府はこの考え方に基づき、いずも型を事実上の空母である「多用途護衛艦」に改修した後も、艦載機であるステルス戦闘機「F-35B」を常時搭載とはせず必要に応じて搭載することにして、いずも型はあくまでも攻撃型空母ではなく、防衛型空母と解釈したいようです。

 

 しかし、攻撃型空母に相対する「防衛型空母」なる言葉は、これまでに使われたことがありません。

 もともと攻撃型空母という言葉は、米軍内で「対潜空母」などと区別するために使用されていたからです。

 そもそも兵器の種別に明確な定義があるわけではないのですが、攻撃型空母を持てないということであれば、対潜空母やより小型の護衛空母なら持てるという解釈もあります。

 また、攻撃型空母を正規空母と同義とすれば、正規空母よりも小型の「軽空母」なら持てるという解釈もできるはずです。
 

 いずも型は、護衛空母、対潜空母、軽空母のいずれにも該当すると思いますが、こうした議論の繰り返しは不毛です。

 なぜならば、問題となっているのは、敵地攻撃が可能かどうかということだからです。
 

 であるなら、どんな空母であっても、戦闘機はおろかヘリコプターであっても、艦艇に搭載すれば敵地を攻撃することは可能です。

 それどころか、既に空自の多くの戦闘機には空中給油装置が装備されており、爆弾等を搭載すれば、敵地攻撃は今すぐにでも可能なのです。

 実際の敵地攻撃では、警戒機など様々な支援の必要性や搭載兵器の特性など考慮すべき要素が多数あるので、空母と戦闘機があれば即作戦が可能という訳ではありませんが、大切なのは如何に抑止力を強化し国防に資するかという観点です。

 その意味で、広大な領海を有する我が国にとって、攻撃型空母であろうとなかろうと、空母は日本の国防上不可欠な存在ではないでしょうか。