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2018/12/03【本当の‟保護主義”は米か中か】

 米中貿易戦争は、G20での米中首脳会談で、一時休戦の運びとなりました。

 米国が来年1月の大幅な関税引き上げを90日先延ばしする代わりに、中国は米国から農産品などを大量に購入するとともに、中国による知的財産の侵害やサイバー攻撃についてはその間に協議するとしています。
 

 今回の米中の合意は、中国が譲歩した形であり、関税自主権を行使したトランプ大統領の成果といえます。
 

 前任のオバマ大統領は、トランプ大統領のような強硬な関税政策を取れなかったでしょうから、TPPのような多国間による自由貿易の枠組みで中国を追い詰めるという戦略をとったように見えます。

 一方、トランプ大統領は保護主義や一国主義と非難されても、関税引き上げを掲げて、中国から譲歩を引き出しました。
 

 90日後に米中の協議の行方がどうなっているか予断を許しませんが、今のところ、トランプ大統領の手法が功を奏しているように見えます。
 

 中国による途上国に対する過剰な融資や独裁的な国家に対する手厚い支援などは、現地の国民を顧みない自国の利益を優先した政策という意味で、中国こそが一国主義といえますし、一帯一路構想で囲い込んだ他国の富を中国が吸い上げる構造こそ保護主義ではないでしょうか。
 

 
 その中国の原動力である貿易黒字を根本から減らすトランプ大統領の政策に協力することは、自由・民主・信仰という価値観を守ることに寄与すると言えます。

 ですから、中国経済の減速による世界経済の影響を心配するよりも、インドやASEAN諸国など他の途上国の経済発展にこそもっと目を向けていくべきではないでしょうか。