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2018/10/13【米中貿易戦争で日本の果たすべき役割】

 日中両政府は、今月末に安倍首相が公式に訪中して、習近平主席らと会談することを発表しました。

 日本の首脳の公式訪問は7年ぶりで、両政府共に信頼関係を強固なものにすることや、両国関係の更なる発展を目指す旨を述べています。

 特に、トランプ大統領による一国主義を念頭に、多国間貿易や自由貿易体制の重要性を確認する場としたい意向で、経済面での協力を推し進めるものと見られます。

 

 一方で、事実上の一党独裁国家である中国は、国民の人権を抑圧する一方で、周辺国に対しても軍事力を背景に圧力を強めています。

 日本側がどのような手土産を携えて訪中するのか分かりませんが、中国の覇権阻止のため経済的に中国を締め上げるトランプ大統領の政策に水を差すようなことは避ける必要があります。

 安倍首相がトランプ大統領の真意をどこまで理解しているかは分かりませんが、一時的に世界経済にダメージを及ぼすことがあったとしても、中長期的に中国の野心を挫くことができるのならば、トランプ大統領による貿易戦争を後押しすべきと考えます。

 日中関係が急速に改善するように見える今回の一連の流れは、好調な経済発展を背景に権力基盤を固めてきた習近平主席が、米中貿易戦争により自国経済が失速するのを恐れ、経済面で日本を引き入れたいという思惑が感じられます。

 孫子の兵法の国とも言える中国は、二正面作戦を嫌います。

 中国には、米国という主敵を前に、以前からの敵である日本と和睦し、米国との戦いに専念するというストーリーがあるのかもしれません。

 もしそうであるならば、中国が最も嫌う策を講じるのが兵法の常道ですから、米国と足並みを揃えて経済面で圧力を掛けることこそが、日本が取るべき道ではないでしょうか。