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2018/10/04【“新・製造業立国”を目指して】

 米空軍の次期練習機がボーイング社の案に決定しました(※)。

 この練習機の調達計画は、1兆円以上にものぼる巨額な契約となります。
 

 米空軍では老朽化した現行の練習機の更新を検討していましたが、世界的にパイロット養成プログラムの変更等があって、米空軍が求める高性能で手ごろな機体が国内に存在していませんでした。

 
 そこで米国のメーカーは、実績のある海外メーカーと組むことで、開発費を抑えつつ、効果的な機体を提案していました。

 今回、選定されたボーイング社は、スウェーデンのサーブ社と組むことで栄冠を勝ち取りました。
 

 今回の練習機は、高性能な機体であることは間違いありませんが、戦闘機と異なり高度な兵器システムやステルス性能が必要ないので、ある意味で既存の航空エンジニアリングの範疇で開発が可能です。
 

 もしかしたら、自衛隊向けの戦闘機や練習機の開発で実績のある日本も、今回の調達計画に名乗りを上げていれば、商機があったかもしれません。

 実際、今回もボーイング社の対抗馬とされるロッキード社は、韓国の企業と組んで韓国製の機体の改良型を提案していました。

 現実的には、日本の武器輸出三原則が緩和されたのが4年前ですので、スケジュール的にタイトすぎて提案が間に合わなかったと思われますが、実現していれば、日本の航空産業にとって歴史的な契約となったかもしれません。

 航空産業は、自動車産業などと並んで裾野の広い産業であり、今後も世界的に需要の拡大が予想されます。

 高度な技術が不可欠な航空産業は、日本の次世代の主力産業の1つとして成長させるべき産業ですから、「新・製造業立国」を目指して官民一体となってその育成に力を入れてはいかがでしょうか。

※:9月30日付CNNニュースhttps://www.cnn.co.jp/usa/35126311.html