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2018/08/07【最低賃金アップの弊害にも目を向けるべきでは】

 厚生労働省の中央最低賃金審議会が、先月、全国平均で昨年度比3.1%アップの26円の賃上げを決め、今月に入り、各地方での具体的な賃金の答申がまとまっています。

 知人の工場経営者によれば、売り上げや利益が増えている訳でもないのに、3%もの賃上げを強いられるのは経営上の痛手だと話していました。

 確かに、「賃上げ分に相当する法人税を減税するので、その分を賃上げに充てるように」というのであれば筋は通りますが、「最低賃金は強制的に上げるけど、そのやり繰りは各企業が勝手に考えて下さい」というのであれば釈然としません。

 巷では、「最低賃金を一律1,000円に」という主張も目にします。

 仮に、そうなれば10%以上の賃上げに相当するので、財務的に余力のない企業は、従業員の一部を解雇せざるを得なくなります。

 
 これは、失業率に悪影響を及ぼしますし、生産性のイノベーションができなければ企業の売り上げも減ることに繋がります。

 しかも、賃金の上昇分がそのまま消費に回るという保証もありません。
 

 やはり、労働者の賃金は、基本的には労働市場に委ねるべきです。

 最低賃金の制度はあっていいのかもしれませんが、その場合、労働市場における平均賃金を行政が定める最低賃金が左右する水準であってはならないのではないでしょうか。

 よって、景気回復を国民の実感を伴うようにし、生活が楽になったと思えるようにするために行政が行うべきことは、消費税などの減税であると考えます。