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2018/06/07【日本こそ欧米とロシアの仲裁役を】

 イタリアのコンテ首相が、EUに対しロシアへの制裁の見直しを求めていく方針を明らかにしました。

 コンテ首相が率いるイタリアの新政権は、ポピュリズム政権としてEUから警戒されていますが、見方を変えれば、ロシアとの関係改善を目指す同首相の方針は一つの見識と考えることができます。

 欧米が主導した対ロ制裁は、もともとはウクライナ問題が発端でした。

 日本も、中国による東シナ海や南シナ海での力による現状変更を念頭に、ロシアによるクリミア半島の併合は看過できないという立場から制裁に加わった経緯があります。

 
 しかし、中国による東シナ海や南シナ海での力による現状変更の試みと、ロシアによるクリミア半島の併合は事情が異なっています。

 中国が主張する尖閣諸島や南沙諸島の領有権には汲むべき根拠がありませんが、クリミア半島はソ連時代に行政区がウクライナに移された経緯があり、住民もロシア系が多くを占めています。

 もしも、行政区がそのままであったならば、現在もロシア領であったとしても不思議ではない土地です。
 

 
 よって、本来であれば、日本は、欧米の対ロ制裁に加わるのではなく、欧米とロシアとの間に立って、関係改善を図るべきだったのではないでしょか。

 日本の対ロ制裁は、ロシアにとって実害が少ないとも言われていますが、それは問題ではありません。

 日本が対ロ制裁に加わっていなかったなら、今頃、北方領土うち歯舞群島、色丹島は日本に復帰していたと言われているのです。
 

 
 ロシアは、日本の隣国であるとともに、対中国を考える上で極めて重要なパートナーです。

 日本にとって、親日的なプーチン大統領の治世は千載一遇の好機であるにもかかわらず、コンテ首相の登場で、日本が果たすべき役割を、イタリアに取って代わられるかもしれません。

 日本も、対ロ制裁の見直しを行うべきではないでしょうか。