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2018/01/30【塾に行かなくてもいい学校教育を】

 ある地方自治体の調査で、ひとり親家庭など児童扶養手当を受けている世帯の39.5%が、経済的な理由で学習塾に通わせることができないと答えていることが分かりました(※)。

 同じ調査で、一般家庭で同様の回答をした割合が14.6%だったことを考えると、経済的に苦しい家庭ほど、有料の学習塾に行きたくても行けない実状が浮かんできます。

 これは、「子供の成績や将来のことを考えると学習塾に通わせたい」というニーズがあるということですが、別の視点から考えると、学校で教えているレベルが親や子供のニーズに適っていないという風にも考えられます。

 しかし、学校では、クラブ活動や様々な生活指導などがあり、学力の向上だけを目指すことは容易なことではありません。

 一方で、国は先の衆院選で高等教育の無償化に舵を切り、2兆円とも言われる財源を捻出しようとしています。

 学びたい意欲のある全ての子供に、無償で教育の機会を提供するということは殊勝な政策かもしれませんが、経済的な困難の中にある家庭に対する支援制度は既にありますから、全ての家庭を対象に一律に無償化することが最優先課題なのかという疑問が残ります。

 それだけの予算があれば、まずはクラブ活動に外部教員を導入するなどして、教員の過重労働を軽減すると共に、学校での教育の質を向上させ、塾に行かなくても進学などに必要な学力を身につけることができるよう改善すべきではないでしょうか。

 世界に目を向ければ、日本の引用論文数の低下や、国際特許の出願数の順位低下など、今後も日本が知的生産物で世界をリードしていけるのかどうかという危機感があります。

 まずは、足元から日本の教育の質を上げることが急務ではないでしょうか。

※:1月21日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20180121/1030001622.html