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2017/12/29【安全審査に合格したけれども】

 東京電力柏崎刈羽原発の6・7号機が、原子力規制委員会の安全審査に合格しました。

 福島第一原発の事故後、東京電力の原発としては、初めての合格となります。
 

 しかし、地元新潟県の知事は、3年後を目途に、県が独自に進めている検証結果が出なければ、再稼動の議論は行わないとしており、地元の同意が得られる見通しは立っていません。

 地元の世論を見てみても、本当の地元とも言える柏崎市・刈羽村では再稼動に理解を示す意見が多いものの、新潟県全体では再稼動反対が賛成を上回っています。

 こうした背景には、東京電力に対する不信感が存在することはもちろんですが、新潟県唯一の全県紙である地元新聞社による、反原発キャンペーンの影響も大きいのではないでしょうか。

 同紙は、安全審査を行っている途上、不適切な対応を繰り返す東京電力に対し、原子力規制委員会が厳しい姿勢で臨んでいた時は、原子力規制委員会を肯定するような報道が目立ちました。

 しかし、今回、安全審査に合格するや否や、今度は、安全審査の新規制基準が如何に不合理であるかということを訴え、原子力規制委員会を批判的に報じています。

 不倒不偏を謳うNHKですら左傾化していると言われていますが、NHK新潟放送局の原発報道と比べてみても、地元紙の偏向ぶりが際立っているとのことです。
 

 権力に対して批判的に報道することで、権力の暴走を抑止する役割がマスコミにあることは理解しますが、賛否ある問題を一方の立場に偏重して報道し世論を一定の方向に誘導するかのような紙面作りは、寡占状態の地元紙の姿勢として如何なものでしょうか。
 

 全発電量の8割以上を火力発電に依存する日本の現状に際し、海外からの化石燃料の輸入がストップする事態への処方箋を示せないのであれば、軽々に脱原発を進めてはならないと考えます。