7月
12

2017/07/12【気になる在韓米軍の動き】

 ソウル中心部にあった在韓米軍の陸軍司令部が、ソウルから南に約40キロメートル離れた場所に移動しました(※)。
 

 朝日新聞によれば、東アジア情勢を踏まえ朝鮮半島の外へ陸軍部隊を展開しやすくするための措置と見られるとしています。
 

 確かに、如何に強大な米軍と言えども、展開している部隊には限りがあるので、世界各地に速やかに部隊移動ができるように、空軍基地に隣接した新司令部は、部隊運用の柔軟性を高めるものです。
 

 しかし、それだけが移転の理由ではないと思えてなりません。

 なぜならば、まず、ソウルは北朝鮮との軍事境界線から40キロメートル足らずの位置にあり、朝鮮半島有事の際は、北朝鮮の火砲の雨にさらされると見られています。
ですから、かねてからソウルに指令部を置くことの危険性が指摘されていました。

 よって、今回、表向きには別の理由があるにせよ、司令部を少しでも軍事境界線から離れた位置に移動できたということは、防衛上極めて重要です。

 米国は、北朝鮮の核兵器や弾道ミサイル開発を阻止するために、軍事力の行使も除外しないとしているものの、現実には韓国を人質に取られているような状況では、軍事力の行使はできないというのが、当事者である北朝鮮を含めた国際社会の見方です。

 しかし、今回の司令部の移転は、朝鮮半島有事を想定した米軍の動きの一環と見ることができるのではないでしょうか。

※:7月11日付朝日新聞http://www.asahi.com/articles/ASK7C56G3K7CUHBI01J.html?iref=comtop_list_int_n01