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2017/07/06【日本のEEZは便利な実験場か?】

 北朝鮮が7月5日に発射した弾道ミサイルは、大陸間弾道弾(ICBM)である可能性が高いとの認識を米国政府が示しました。

 一般に、ICBMは射程距離が5千5百キロメートル以上の弾道ミサイルを指しますが、今回発射されたミサイルは、米国本土のアラスカ州全体を優に射程圏内に収めている模様です。

 弾頭の大気圏再突入技術については、北朝鮮は確立したと主張していますが、実際のところは懐疑的な見方もあります。
今後、物体の形状まで把握できるとされる米軍のXバンドレーダーによる解析結果などから、北朝鮮の弾頭技術がどこまで進展しているか明らかになってくるものと思われます。

 一方、日本はある意味で北朝鮮の弾道ミサイル開発に加担していると言われても仕方がない面があるのではないでしょうか。
なぜならば、今回のミサイルは日本の排他的経済水域内(EEZ)に着弾しましたが、北朝鮮にとってみれば、地理的な制約はあるにせよ、ロシアや中国、それに韓国のEEZに向けて発射実験を行えたはずです。

 民間船が活動している可能性のあるEEZへの予告なしの着弾は、国によっては武力行使とも取れる行為です。
にもかかわらず、日本のEEZを標的に選んだ理由の一つは、日本が反撃してこないと分かっているからです。

 中国もロシアも韓国も、北朝鮮を攻撃する高い能力がありますが、日本には事実上ありません。
抗議・非難や実効性の薄い経済制裁など日本の対抗手段はたかが知れているので、北朝鮮にとって実験場としての日本のEEZは、たいへん便利な存在なのではないでしょうか。

 日本が強力な敵地攻撃能力を有し、かつ、国防に対する断固とした意思を示していれば、北朝鮮は、日本のEEZ内で好き勝手に弾道ミサイルの実験などできなかったはずです。