3月
01

2017/03/01【THAADを恐れる中国】

 韓国が在韓米軍の弾道ミサイル迎撃システム「THAAD」の配備を決めて以降、中国は反発を強め中韓関係が悪化しています。

 韓国は弾道ミサイル技術を急速に高めている北朝鮮に対抗するためにTHAADの配備を決めた訳ですが、中国が反発する理由は、「THAADの高性能レーダーで自国内も監視されること」、「自国の弾道ミサイルまでも無力化されること」を懸念しているからと伝えられています(※)。

 しかし、THAADのレーダーは近年普及し始めたXバンドという特殊な波長を使用しているとは言え、自国領内に配備されたレーダーで隣国内も監視することは、どの国でも一般に行われています。

 また、中国の弾道ミサイルが無力化されると言っても、そもそも韓国軍が配備している弾道ミサイルは、米軍との取り決めで政治的な配慮により、北朝鮮を標的とした比較的短い射程のものが主体であり、中韓間で弾道ミサイルの軍事バランスを保っている訳ではありません。

 ですから、中国は言い掛かり的な理由で韓国のTHAAD配備に反対していると言えますが、それだけ弾道ミサイル迎撃システムに対しセンシティブになっているということを表しています。

 これは、中国が米国の弾道ミサイル迎撃システムを突破するために、「極超音速飛翔体」などと言われる新たな兵器の開発を急いでいることからも裏付けられます。

 翻って、日本もTHAADなど新たな弾道ミサイル迎撃システムの導入を検討していますが、これらが中国の弾道ミサイルに対しても一定の抑止力になるということを示しているので、早期の導入実現をすべきと考えます。

※:2月28日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/170228/wor1702280057-n1.html